妊娠がいかに「奇跡であるか」を知っていただきたくこの記事を書くことにしました。妊娠できるのがフツーと思っている皆さん、あなた&相手の方は本当に素晴らしい生殖機能と強運の持ち主!
- 妊娠までの長い道のり
- 生殖機能のキホン
- 上記をクリアしている男女への次なる壁
- 着床してもまだまだ最後の難関が残る
- この壁のうち85%は生殖補助医療(不妊治療)でサポートできる
- 全部クリアして初めて妊娠が成立する
妊娠までの長い道のり
不妊治療をしていると妊娠までの道のりが本当に遠く遠く感じます。
そこで今回は妊娠の仕組みに準えて、妊娠するためには何をクリアする必要があるのかを洗い出してみました。
最初は出産までの壁にしようと考えていたのですが、妊娠成立(胎嚢が確認できる)までに100個近くも乗り越えなきゃいけない壁が出てきてしまったので、妊娠~出産までは第2段に回そうと思います。(こちゃ合わせたら200くらい出そうですな・・)
いずれにしても、無事出産された方とその赤ちゃんっていうのはものすごい奇跡の連続を一通りクリアできたすごい方!
それから、実際には「女性が産める年齢」の時に、子どもを産もうと思える環境、相手がいるこというそもそもの重要な因子もあるのですが、この辺も割愛しました。
*当記事はあくまで1患者が作成したものですので、医学的な監修はされておらず、一部の内容に過不足がある可能性もございますことをご了承ください。下記の異常等には「程度」が加味されておりませんので、すべてを100%クリアしていないと妊娠に至らないとは限らず、また、一部の項目はまだその原理や有効性が臨床的には解明されていない・エビデンスが不確実なものも含まれていますので、参考程度とご理解いただけますと幸いです。
表の見方
文字の色が2種類に分けて記載しました。
- 青:生殖補助医療で対応・代替・補助可能なこと
- オレンジ:解明されていない、または日本の生殖補助医療では補助が難しいこと
生殖機能のキホン
まずはそもそもの生殖機能ですが、男性の場合、精巣がダメージを負っておらず精子を作れる場合には手術なども含めて何らかの治療法で対処できる可能性が高いかと思います。
女性の場合も卵巣がダメージを負っておらず、排卵に十分な卵子が残っている場合である程度の大きさまで卵胞を育てることができれば薬剤や体外培養の技術で救える可能性があります。
上記をクリアしている男女への次なる壁
そこをクリアしてやっと「受精」や「着床」という大きなチェックポイントに向かっていけるわけですが、ここではどうしても「精子・卵子の遺伝子が正常であるか?(精子の質、卵子の質という言い方をされる部分)」という問題が付きまといます。
この部分は年齢に影響を受けることがわかっているため、20代~30歳前後までと若い方が妊娠には有利と言われています。
加えて、核の細胞分裂に関しては医療が手出しをすることはできない部分なので、ここに問題が起こっているとかなり厳しいのが現実です(一方でこの細胞分裂が体内だと上手くいくという方もいます)
「53.受精卵の染色体が正常である」という点はPGT-A(着床前スクリーニング)により解明が可能になっていますが、日本では認可されていないため日本で治療を行う患者さんには用いられることがない技術です。
一方でその検査により受精卵がダメージを負ってしまうというリスクも存在するため「57.受精卵が何らかのダメージを負っていない」という点との両方をクリアすることにはまだまだハードルがあります。
着床してもまだまだ最後の難関が残る
一旦子宮内に受精卵が着床しても、そのまま成長を続けられなければ妊娠には至りません。着床から胎嚢が確認できるまでにはおよそ1~2週間、ここが最後の難関です。
ちなみに、健康な男女が性交渉を持った場合、ひと月に妊娠する確率は女性の年齢が20代で約20~25%、30代前半では約15~20%、30代後半では約10%と言われています。
健康な30歳の女性が性交渉を持った場合でも、100人のうち妊娠に至るのは20人で、残りの80人は妊娠に至らない、その理由が上記のどこかがクリアできなかったから、なのです。
この壁のうち85%は生殖補助医療(不妊治療)でサポートできる
見ての通り、どれも生まれながらの身体の機能や体質であることがほとんどで、「年齢」はそれなりの関係があるものの、生活習慣や個人の努力とは関係のないことばかりです。
すべての項目がクリアできている状態の方というのは、とてもラッキーと言って良いと思います。
そして、ざっとご覧いただいてお気づきの方もいらっしゃると思いますが、実はこのクリアしなければいけない壁のほとんどは生殖補助医療でサポートすることが可能です。
(難易度などは項目によりバラつきはあります)
だからこそ、不妊治療をしている人がたくさんいるのです。
決して妊娠できないわけではなく、医療の補助が必要な状態、それを私達は不妊症という呼び方をしているのです。
全部クリアして初めて妊娠が成立する
それにしても、これらを一発で全部クリアして初めて妊娠が成立すると考えると、ものすごいことですよね。
しかも、88という数字には細分化していない項目も含まれているので、より具体的にしていけば100くらいはありそうです。
(まだ私が把握できていないこともたくさんあるだろうから、実際は100項目以上あるだろうな・・)
いやぁ、妊娠するってすごいことですよ・・。
これを平気な感じでポンポンできる方って、めちゃくちゃ完璧ボディの持ち主だし、当たり前のように妊娠して出産できる方には羨望の眼差しを向けてしまう・・!
一方でこのように俯瞰して見ると、医療によってその機能を代替したりサポートしたりできる部分もかなり多いこともわかりました。
もちろん最も重要とも思われる部分で完全ブラックボックスな項目もいくつかありますので、やっぱりこのあたりが次の生殖医療技術の進化のステップなんだろうなと期待しています。