めありずむ

不妊治療の保険適用と理解促進に取り組むブログ(時々育児雑記)

在宅ワークで乳幼児の声を聞くのがつらい

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在宅ワークで乳幼児の声が聞こえるのが辛いという方がいらっしゃいます。我が家は在宅ワークの恩恵をとても受けているので、その良さを失いたくない一方、難しい問題に直面しました。

流産した部下に配慮して夫が仕事部屋を借りた

背景

昨年末頃に流産された方が、4月から夫のチームに加わりました。夫の話では、正式なアナウンスはなかったので妊娠5ヶ月には入っていなかっただろうけれど、個人的に聞いていた人もいるので初期ではなかっただろうとのこと。

  • その方はメンタル理由で3ヶ月ほど休職されていた(仕事はとても優秀らしい)
  • 異動時、子どもの話題については配慮するようにとの依頼が夫にあった(こういう例はあまりなく、特別に依頼される時点で、かなり重症のよう)
  • ご本人が専門的なメンタルケアを受けているかの共有はない(が、たぶんないっぽい)
  • ご本人から「妊婦さんやお子さんを見るのがつらいのでなるべく在宅勤務にしたい」との申告はあったらしい
  • チームは夫以外全員独身
  • 夫は平日は会議や通話がほぼ1日中続くような就業スタイル
  • チームメンバーとの毎日通話や会議が発生している
  • ちなみに単一指向性のマイクは使用しているが、カットしきれてないらしい

働く場所のこと

  • 夫の職場は商業オフィスビルかつ出社必須の職種もあり感染リスクが高い
  • シェアオフィスは自宅近くにあるが、割と混んでいて出社と同等にリスクあり
  • よって自宅以外に感染対策が万全な職場環境はない

自宅のこと

  • 間取り的に寝室以外は声はほぼ筒抜け
  • 保育園に通っていても、息子の夕食やお風呂の時間になぜか会議が多い
  • 夫はできるときは育児したい派(と本人は言うし、実際やっていると思う)
  • あと1歳になったばかりの息子、今めちゃくちゃおしゃべり、ハイテンションで、きゃぁぁぁ!とか奇声をあげがち
  • 感染対策等で自宅保育にすると1日中通話の度に気を遣うが、寝室に閉じ込めておくわけにも、ずっと外を散歩しているわけにもいかない

夫vs妻の主張

在宅ワークの際に息子の声が聞こえてしまうのはまずいから、別に部屋を借りたい、と夫から相談されました。自分さえ気を付ければ、他のメンバーには負担なく、乳幼児の気配を感じない環境にできるから、と。

私は真っ向反対、夫婦の意見は折り合いませんでした。

  • 夫の言い分:自分も治療中辛かったことはあるし、部下が業務に集中できる環境を作るのはマネージャーのやるべきことだと思う(気持ちよくどんどん仕事してもらわないとぶっちゃけこっちがしんどい)
  • 妻の言い分:通常の役割やコミュニケーションの範囲を超えた犠牲を、サラリーマン個人が払ってすることではないと思う、そうしないと働けないならそもそも適切なグリーフケアが受けられていないし、あなたがアクションすべき方向性は違うと思う

話し合いの結果

平行線の主張でしたが、話し合いの結果お互いに譲歩し、以下のように決めました

  • 会社の人事や産業医に対策を依頼する
  • とはいえすぐには無理なので、別に部屋を借りる夫の希望を一旦受け入れる
  • ただし期間は最大1年とする

夫は今、自宅から徒歩圏内の狭い部屋を自費で賃貸して、会議の時を中心にそこで仕事をしています。

全方位から感染リスクを避けつつ急な仕事にも対応するには、そうするしか方法がありませんでした。

夫としては集中して仕事ができる環境がメリットになることもあるでしょうし、私としても自宅保育が増えると音に気をつけて生活するというのはしんどいので、仕事部屋を借りてもらった方が気がラクというのもありますので、結果は結果でいいんですけども、やっぱりちょっと疑問は残る。

正直、おかしいルールや制度は変えられるし変えるべきと考える妻と、決められたルールの中でベストを尽くすのが良いと思っている夫なので、そりゃあもう発想の根本が違います。(まぁそれは今回は置いておきたくないくらい納得いってないけどww)

配慮のうらの犠牲 

夫は元々平日はほとんど人と通話しているような働き方なので、私がワンオペ気味なのは常態化していますが、家にいるのといないのでは「ちょっと5分手を貸して」ができるかできないかという大きな違いがあると思っています。

夫は息子との時間が減り、私のワンオペ時間は長くなるし、家計へのダメージもあります。正直、想定外の事態で、しんどいです。見方によっては、同僚への最大限の配慮のために、我が家はある種の犠牲を払っています。

それから、夫が妻に育児を任せて外で仕事したいのでは?という指摘もありそうですが、たぶん当てはまりません。実際、夫は息子と過ごすために会議の合間にわざわざ時間を削って何往復かしたりもしています。面倒ならいくらでも言い訳できるでしょうけど、行動を見る限りそれはないように感じます。

私自身、子どもを望む人・失った人と子どもを育む人の分断をどうやったら無くせるのかということをずっと課題にしてきました。

でも、自分では制御したいのに、現実に子どもの声が聞こえると涙が止まらない、息が出来ない、頭が真っ白になる、という方はいらっしゃいます。それくらい強烈な体験であることを、私達夫婦も理解しているつもりです。

そこから立ち直ってほしいというのはおこがましいですが、そのためにも、自分たちが取り得る選択肢の最大限を取りたいとは思います。

でも、うちは知人から良い条件で物件を紹介してもらえて、息子がそんなに手のかからないワンオペでもなんとかなるタイプの子で、2人目治療のために少し貯めていた費用を家賃に充てることでやっと実現できたことです。

短期的にでもどこまで配慮が必要なのかという正解は、私達にもわかりません。ただ、これができなかったら「配慮が足りない」「それくらいの協力はしてほしい」と言われるのは、正直厳しい。

「配慮してね、よろしく」じゃない

これを書いた目的は、「お互い様なんて簡単に言うつもりはないけど、住宅事情等で子どもの声が聞こえてしまうケースは仕方ないし、事情や状況は様々であることは知ってほしい」みたいなことではありません。

(もちろん、努力はしてるので多少は理解してもらえたら嬉しいけれど)

し、私達の対応を正当化するつもりも全くないです。こんなことは個人がやるべきじゃないです。

流産・死産や、不妊治療中、治療をやめる決断をする前後、お子さんを亡くされたなどのケースは、素人が仕事のマネジメントをしながらケアできるような単純なものだと思わないでほしい、という話です。

どんな背景があるにせよ、社会生活をしている中で乳幼児の声を聞くのがつらいというのは、明らかに何らかのケアが必要なメンタル状態でしょう。(程度はいろいろですけどね)

会社から「配慮よろしくね」と言われて、ここまで対応した我が家はやりすぎでしょうし、本来は個人が負うべき負担とは私は思っていません。(2度目)

ですが、自分たちの経験に近いものはあり、それほど重く受け止めたことは事実です。でも、私達がそうしたところで、社会的に乳幼児を避けて生活し続けるなんて無理がありますし、そうじゃない上司に変わったらどうなるんでしょうか?

受ける人によって対応が全然違うということ自体も、本来は避けるべきです。

「こういう事情なんで配慮してね」というのは、共有としてはあって然るべきですが、「じゃあ、あとはよろしく」となってしまうのは、私はおかしいと思います。

グリーフケアという言葉もだいぶ浸透はしてきましたが、流産・死産に限らず、子どもが絡む事象には向き合う人の数だけ、苦しみや葛藤はあると思っています。少なくはないけれど、だからといって「そういうことを経験してる人は多いよ」と片付けてしまうのも違う。

その人、そのカップル毎に丁寧なケアがされるのが理想ですが、なかなか現実は追いついていません。でも、そうやって専門的にケアしていく体制が必要だと思います。

(もちろんそもそもこういう現実を知らない人が多すぎるという問題や、産休を使える対象を広げるとか、制度的な話もいろいろあります)

できることをやる

私にとっては真逆の立場を経験したという意味で、すごく大きなきっかけになりました。うちはアホみたいに楽観的なところがあるので、この件自体はもうどうでもいいんですけども、

私の意見としては

  • グリーフケアなどの体制、選択肢は広く整備されていくべき
  • 個人的な付き合いの中で可能な配慮はお互いそれぞれにできるのが良い
  • 程度の問題はあれど、分断をなくしていくような風土づくりはそもそも必要

という感じですかね。

出産年齢にかかる方は働いている場合が多いので、企業にも直接的に影響が出るものの、実態として「グリーフケアをどこのリソースでどう実現するのか?」というのが、あまりに宙ぶらりんにされていることに課題にあるのでは?と思うわけです。

昨今、グリーフケアの団体も精力的に活動されているところもありますし、きっかけは悲しいニュースだったけれどメディアが取り上げることも出てきました。不妊・不育治療と同じように、広く認知されケアが進むことを望んでいます。

会社に対して個人でアプローチすることはもちろんですが、私ができることは他にもあると思うので、できることを淡々とやっていきたいと改めて思っているところ!