不妊治療中は驚くほどいろんなものとの闘っています。もちろん日常生活で個人が抱えるものは様々ではありますが、自然に妊娠できる人と比較するとこんなにも闘うものが多いのかと苦しくなりますし、私も「心」を健康に保つためにいろいろ試行錯誤している日々です。
不妊治療中って何と闘ってるの?
- 妊娠できない自分への憤りとの闘い
- 治療法や自分の選択の正しさを疑う気持ちとの闘い
- リセットした時、陰性だった時のショックとの闘い
- 妊娠できないかもしれないという不安との闘い
- 一生懸命働いて得た給与が湯水のように消えていく虚しさとの闘い
- いつまでこの状態が続くのかという絶望感との闘い
- 自分が身体的に欠陥品であると感じる自己否定感との闘い
- 適齢期なら簡単に出産できるものと思っている世間の風当たりとの闘い
- 親や親戚からのプレッシャーや申し訳なさとの闘い
- 他人の妊娠を平常心で祝福できないことに対する罪悪感との闘い
- 身体によくない食べ物、飲み物、やりたいことへの欲望との闘い
- 欲しいもの、行きたいところより治療を優先することへの虚無感との闘い
- よもぎ蒸し、鍼灸、漢方、サプリ・・何もかもはできないことへの葛藤との闘い
- 通院時間捻出のための業務量との闘い
- どんなにつらくても仕事や人前では普段通りにしなきゃという責任感との闘い
ほんとキリがないですよ。もう毎日毎日何かと闘ってる状態です。私の場合、こんな状態がもう2年以上続いています。正直、精神的にはかなりキツく、浮き沈みもあります。例えるならば、毎月大失恋をしているとか、毎月失業してるとか、そんな状態と同じですからね・・・。
そんな時に知ったペッパー君のニュース
https://twitter.com/kawarayaata/status/955899140021481472
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ペッパー君のAI開発者が、AIに道徳を教える為「世界中の宗教の教典から、共通の教えを探し覚えさせる」という方法を実践。その結果
— 瓦屋A太@冬コミ新刊委託中 (@kawarayaata) 2018年1月23日
「他人を騙さない」
「他人から盗まない」
「他人を殺さない」という共通点を覚え
「それ以外の罪は全部許す」
という世界一雑で世界一寛容な教えが誕生したそうな
内容自体はネタっぽく書かれているのですが、これを見たとき、既視感があったんですね。確かいろんな宗教の根底はYOGAなのではないかという説。
私はYOGAのインストラクターでもまじめな実践者でもございません。1年ほどホットヨガに通っていた時期から、時々呼吸法を取り入れたり、アーサナ(ポーズ)をストレッチ代わりにするくらいでございまして、本格的に習ったりしたわけでもございません。ちなみにやや宗教っぽい話になってますが、普通に神道と仏教を身近に生きておりまして怪しいものではございません(笑)
それで、思い出してヨーガの教典スートラに何が書かれているのか調べてみました。 下記のブログ記事がとても分かりやすかったので(かなり噛み砕いてくださっています)詳しくはプロにお任せ。yuta.ituyoga.com
ほとんどはヨーガの教典なのでもちろんヨーガの話ですが、ペッパー君が導き出した「教え」に見覚えがあるなと感じたのはこの「ヤマ」と呼ばれる禁戒。つまり日常生活でやっちゃいけないことに酷似していたからなんですねー。
ヤマ(禁戒)とは?
要は道徳的な5つの心得という感じ。
- 非暴力。他人や自分への思いやり。言葉の暴力や責めるようなことはしちゃだめ。
- 正直。嘘はついたらダメ。誠実でいること。
- 不盗。物や空間や時間も人から奪っちゃだめだし、うらやむ心もよくない。
- 禁欲。エネルギーの無駄遣いをしない、欲望のままだけに生きるのはよくない。
- 不貪。隣の芝生の色を気にしちゃだめ。本当に必要なものを大事にしましょう。
ざっとこんな感じ。これらを守ることで、変に苦しんだり、惑わされることなく生きることができるよ、みたいなことです。これを不妊治療に置き換えて解釈してみました。
1. 非暴力(アヒンサー)
行動、言葉、思考などの全てにおいて、他者や自分に暴力的になってはいけない。例えば、既に子どもがいる人に対して、自分よりも簡単に妊娠した人に対して、クリニックに子連れ通院している人に対して、自分と異なる感覚の持ち主に対して、乱暴な言葉や嫌な態度を取ったり、不親切にしないってことだし、自分のことを精神的に責めないということも含まれるかなと。
2. 正直(サティア)
真実に忠実であること、会話の際に嘘をつかなとか、行動や考えることにおいても、常に誠実に生きること。例えば嘘のつもりはなくても、間違ったことを伝えたと知ったら素直に訂正するとか、同意できないことなら同調しないとか、会いたくない人には会わないとか、嫌だなと思ったら無理をしないとか。
3. 不盗(アステーヤ)
他人の物、時間、信頼、権利、利益などを盗んだり、うらやむ心を持たないこと。クリニックなら予約時間や呼び出しに遅れたり、待合室の椅子を占拠したりしないとか、相手の話をさえぎって話すとか。そして、自分よりも順調に妊娠した人、出産した人をうらやむ心を持たないこと。ものごとに執着しない状態でいることでもあるみたい。
4. 禁欲(ブラフマチャリア)
現代的な解釈だと、エネルギーの無駄使いをしないこと。欲望のままに生きるのではなく、心を節制して必要なところにエネルギーを集中させること。正直にとはいっても、欲望のままじゃダメだよ、治療にちゃんとエネルギーを割けるように今不要なことなら抜くところは抜いてね、ってことかな。食べたいからってお菓子ばっかり食べちゃだめとか、眠いからって昼間に何時間も寝て夜の睡眠が浅くなるんじゃ本末転倒とかってことか。
5. 不貪(アパリグラハ)
隣の芝生が青くても、芝生をほしがったり羨んだりしないこと、本当に必要なものだけを手にすること、程度を超えた欲を持たないということです。他人が持つものへの怒りや嫉妬はさらに幸福を手に入れるのが難しくする、みたいな話ですね。3.不盗と近いかも。そして、治療などを受けた場合の対価は、正当な金額をきちんと払うこと。安ければ良いという考え方じゃなくて、サービスに対する正当な報酬は払いなさいよと。それから、今以上に多くを望む前に、いま手元にある空間、食物、家族や友人、身体、生きる糧となるようなものを大事に思うことも大切。
自分は正しい道を進んでいると思って治療する方がいい
ヤマはどれもそれができたら苦労しないだろうよ、と思うような事ばかりです。でも、つまりそういうこと、そう思えるようになったら苦しみから解放されるのかもしれない。
総じて、このヤマを実践していくということは、自分はちゃんと正しい道を生きている=正しい方向で治療と向き合っているという自信を持つということなのかなという気がします。不妊治療歴が長くなるほど、自己肯定感や心の安定感は削がれていく一方なので、自分を認めてあげるみたいなことってすごく大事だなと思うわけです。
ほんとかどうかの責任は負えません(笑)が、これはもちろん不妊治療だけじゃなく、例えば仕事(会議とか)でも、マンションの管理組合でも、PTAでも、同じように解釈することができるんじゃないかな。
ヨギーにならなくてもこういう心の持ち方って、自分の精神衛生上有効かもしれないなと思ったりします。