めありずむ

不妊治療・育児・Mr.Children・手帳・雑記ブログ

ぼくらの焦燥感 -変化しないライフステージ観をぶっ壊せ-

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不妊治療をしていると、ライフステージが長い事変化していないことにとても焦りを覚える。しかし、もし私に子どもがいても、十数年後に同じ焦りを覚えるだろう。ライフステージの捉え方を変えるべきタイミングに来ているように思う。

愛する人との楽しい暮らし。美味しいものが食べられ、友人と笑い合え、仕事で満足できる報酬を得ている私の暮らしは、控えめに言っても十分に幸せだと言い切れる。

そう、私の生活は「不妊治療をしている」以外、文句の一つも浮かばないほどに満たされているのだ。

それなのに、時々とてつもない焦燥感に襲われるのは、一体なぜ・・・?

変化しないことは退化しているのと同じである

これは私の人生の指針になっている考え方の一つだ。

人によっては「できるだけ安定していたい」「同じ毎日が幸せと感じる」という方もいるかもしれないが、繰り返しや惰性はすぐに飽きしまうという人も多いだろう。私の場合も、変化こそが人生の醍醐味、常に新しい事に触れたい、既知の世界を広げたい、それが暮らしの中のモチベーションの根幹のように思う。

「進学」「1人暮らし」「就職」「同棲」「転職」「結婚」・・考えてみれば、過去は常に数年のスパンで大きな生活の変化が起こってきたし、それが自然だった。

結婚前に思い描いた理想は、その後も「妊娠」「出産」「二人目出産」「子どもの進学」とまた変化が起こり続ける人生。望みさえすれば、それが当たり前に叶うものと思っていた。赤ちゃんが1人の大人に成長していく過程を見続けるのは、きっと「新しいこととの出会い」「未知の体験や感情」「新しい悩み」と嫌になるほどの変化が起こり続けるだろう、だから、これまで自分が経験したような変化が、結婚後の人生でも待っているはず、と。

幸せな生活の中に潜む焦燥感の正体

ところが、蓋を開けてみると「結婚」から7年、生活には何の変化もない。引越したり、管理職になったり、母が大病をしたり、小さな変化はあった。

けれど、仕事内容、東京での二人家族の生活というベースは、変わり映えのしないものだ。むしろルーティンワークがないことが当たり前の仕事が故に、ある意味では何をやっても「同じ仕事」に感じるのである。

大きな変化として「転職」も考えた。しかし、来月には妊娠するかもしれないという期待を5年も持ち続けている私は、転職してすぐに産休などど言い出す勇気はない。

勉強して国家資格も取った。投資も始めた。通うジムも変えた。妊活は段階を経て不妊治療になった。着付けも習った。ブログも始めた。そういったライフスタイルは変化しているけれど、問題は「ライフスタイル」の変化ではなく「ライフステージ」が変わらないことへの焦りなのだ。

人生に対して時折強い焦燥感を感じるのは「子どもがいない」という事実よりも、当然のように繰り返していた「ライフステージの変化」が7年もの間何も起きていないことによるものなのでは?という仮説が生まれた。

子どもがいないことで続く苦しみ

この呪縛から開放されるには、「子どもがいないこと」に縛られる現状を打破するしか方法はないのだろうか。

一つは子どもを諦めるという選択。その場合は「転職」や「移住」といった大きな変化もし得る。しかし今の年齢で諦めるのはノックアウトファクターが見つからない限りは難しい。

もう一つは里親や養子縁組をして家族をつくるという選択。これは期限も含めて自分の意思だけで決められるような話ではないし、ハードルが高いのも事実。

どちらも難しいならば、このまま10年も15年も変わらない生活をしていくしかないのか。周囲がどんどんステージを変えていくのに、私はこのままなのか? 

いや、ちょっと待て。この焦燥感は子どもとは無関係では?

少し前、「LIFE SHIFT」という書籍が売れに売れた。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

寿命の延びに伴って、従来の教育、仕事、老後の3ステージ制の人生は消え、マルチステージ制の人生へ移行していくだろう、という話である。

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そもそも「生活は、自動的に数年単位で大きく変化するもの」という20代までの意識が、自分を苦しめる強力な固定観念なのだろう。

30歳前後で子どもを授かれば、そんなことを考えもせずに変化の続く30代、40代が送れてしまうために、そんなことを考える必要がないだけなのではないか。

つまり、子どものいない私は、単純に子どものいる人が50代で直面することを「前倒し」で経験しているに過ぎないのかもしれない。 

周囲の30代にも増えている"ライフステージ焦燥感シンドローム"

実際、私の周囲の30代で独身やDINKSの人たちがごろごろと転職をし始めている。

しかもその理由は「なんとなく、環境を変えたかった」というものが非常に多い。今の仕事が嫌で辞めているわけではないのだ。

これは、私と同じような"ライフステージ焦燥感シンドローム"にかかっているのではないかと思う。

40代前後を中心に起こるといわれている「ミドルエイジクライシス」の入り口みたいなものだ。

「LIFE SHIFT」を意識しているかどうかに関わらず、ぼんやりとでも「このまま何十年も同じ生活はできない」ということを察知し始めているのではないだろうか。

凝り固まったライフステージ観をぶっ壊せ

仮に不妊治療の成果が実って出産し、育児生活が始まったとしても、おそらく20年後、私は同じ課題に直面するだろう。

これから先の30年、40年をどう生きるのか、きっと考えることになる。というか、この課題は寿命が延びた現代社会では誰もが突き当たる課題のはずだ。

私が壊すべきは、子どもに縛られていることではなく、このライフステージに対する固定観念なのだと思った。

世の中は変わっているようで、変わっていない。特に日本社会は時間軸で見れば時代の変化に実体が追いついておらず、確実に「退化」の一途を辿っているように見える。

マルチステージの人生を楽しみながら生きていくために、古くなったライフステージ観を壊して、生き方を考えてみよう。自戒の念を込めて。