めありずむ

不妊治療の保険適用と理解促進に取り組むブログメディア(時々雑記)

【不妊治療アンケート】政府や省庁への意見書提出のご報告

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1月に歌さんが実施された不妊治療アンケートのまとめと各関係機関への提出作業を少しだけお手伝いさせていただいていますので、ご報告を兼ねて。

意見書として作成した内容のご紹介

公開に承諾してくださった回答のみを用いて、アンケートから絶対理解してほしい要点を2つだけ抜き出して資料に追加しました。

ありがちな誤解として「不妊は高齢化が原因」と思われている方が多いようなのですが、多くの治療中の方は35歳以下で治療を始めており、不妊の原因は年齢だけでありません。

むしろ若くても、卵管閉塞や卵子をうまく取り込めない、精子が作れない・十分に外に放出できない、受精卵を子宮が受容できない、染色体の一部に異常ができやすいなど、生殖機能に何らかの異常があって妊娠できない人がたくさんいます。

そういった生殖機能に異常がある=病気であっても、保険適用されていないのが今の日本の不妊治療です。

要望した内容

不妊治療費はほとんどが保険適用外であるため患者の経済負担は非常に重い状況にあります。現状の助成金等の対策では「不十分」であり、多くの患者が追加支援を求めています。具体的には以下の4つの施策を要望しました。

  1. 早急な各自治体の不妊治療助成金の所得制限の撤廃および2回目以降の助成額の引き上げ実施
  2. 保険適用に向けた有識者等による検討会の発足、開催および具体的方法論の検討開始
  3. 不妊治療と仕事の両立を可能とする労働環境を守るための公的な施策の実施
  4. 着床前診断(PGT)の正式な認可

細かいことを言えば正直まだまだあるのですが、あえて最重要と思われる4点に絞りました。

不妊治療の経済負担の現状と助成金制度の改善について

2つの設問への回答から経済負担の現状に対する提言をしました(n=176)

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  • 不妊治療ですでにかかった費用は100万円以上が70%なのに対し、助成金として受け取られた金額は50万円以下が85%を、30万円以下が61%を占めている。
  • すごくざっくり言うと、かかった費用の半分も助成されていないケースがほとんどである。
  • これは助成金の制度(所得制限や助成金額が2回目以降大幅に減額されること等)が不十分であることを示唆している結果では?

不妊治療に関する医療政策・医療提供環境の改善について

ここでも、2つの設問への回答から不妊治療の治療状況の現状に対する問題提起をしました(n=176)

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  • 今回の有効回答176名の治療開始年齢は約60%が30歳以下であり、一般的に出産率が低下すると言われる36歳以降に治療を始めた人は13%しかいないにも関わらず、妊娠・出産済みは3割以下という状況。
  • 治療期間は考慮していないもののIVF以上に進んでいる人が40%近いことから、日本が「不妊大国」であることは自明で、この理由を突き詰めるとともに、早急な治療環境・治療効率の改善が急務だ。
  • また、一般に誤解されやすい「女性の高齢化だけが不妊の原因」や「不妊症は自己責任だ」といった情報もそれだけとは限らないという正しい知識にアップデートし、不妊症は妊娠に関わる機能障害であり、治療が必要な「疾病」であるという認識を広めていただきたい。

アンケートの実施概要

本アンケートは、有志の不妊治療当事者がSNS等を用いて呼びかけ、不妊治療患者および経験者にWEBを通じて回答を募った調査の結果になります。

よって、調査に際してサンプル設計等は行なっておらず、フォロワー構成上、回答者の属性等には偏りがある可能性はございますが、下記のグラフの通り、年代のTwitter利用率として30-40代の利用者割合はほぼ同じこともあり、有効回答数から一定の平均的な意見を収集できたものであると考えています。

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出典:2018年「公表データ」で見る主要SNSの利用者数と、年代別推移まとめ

  • 調査対象:不妊治療患者および不妊治療経験者かつSNSサービスTwitterを利用している人の中で、調査にご賛同いただけた男女176名
  • 調査期間:2019年1月10日~1月20日の11日間
  • 調査方法:SNSサービスTwitterによる呼びかけを行ない、任意でGoogleアンケートフォームを用いたインターネット経由で回答を回収した

意見書の提出状況

私が第一弾として提出したのは以下の方々宛てです。議員さんは、内閣府の役職宛だと読まれない可能性も高いということで、議員会館の事務所宛にしました。

郵送
  • 厚生労働省 子ども家庭局(不妊治療の担当局)
  • 自民党衆議院議員 宮腰光寛氏(現:内閣府特命担当大臣(少子化対策担当))
  • 自民党衆議院議員 小泉進次郎氏(若いし実行力ありそうだから・・)
メール
  • 東京都医療政策部医療政策課
  • 日本産科婦人科学会事務局

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↑こんな感じのまとめ+公開可能なアンケート回答の全てを載せた資料を送付

 

歌さんと私と、他に名乗り出てくださった方も合わせて、上記以外の議員さん、与野党問わずの各政党窓口、地方自治体等への意見書送付を手分けして実施しています。

各政党の不妊治療に関する政策について、 NPO法人Fine が2017年の衆院選の際に行なった政党アンケートも参考にしています。

現状が全く見えていないような上辺だけの回答から具体的な言及まで様々ですが、不妊治療への取り組みが各政党のマニフェストの一つに入るようになることを目指したいものです。

また、各省庁や政党のいわゆる投稿フォームを通じての投書も継続的に実施したいと思っておりますので、一緒に行動していただけるよ!という方は、ぜひTwitterのDM等でご一報ください!

オンラインの署名活動も継続していますので、ご賛同いただけると嬉しいです。

この活動は「自分たちだけのため」ではない

今回歌さんが実施してくれたアンケートはあくまで「個人が有志で行なったもの」に該当しますが、政府や省庁、各政党、自治体に当事者としての声を届けるのは簡単なことではありません。

正直、すごく、すごくエネルギーが要ります。

行動をしている人も、それに協力・賛同してくれている人も、みんな「後に続く人たちが、自分と同じ苦しみを味わずに済むように」今、社会を変えておかなければと考えている方が多いです。

自分が恩恵を受けられる可能性もゼロではありませんが、やはり保険適用などが実現する頃には自分はもう治療を続けていないかもしれないし、年齢制限で対象にはならないかもしれないと多くの人がわかっています。

少なくとも私はあと1年程度で治療は卒業する予定なので、自分が間に合う事はないと思っています。すでに妊娠・出産を終えた方、成功せずに治療を終えられた方もいらっしゃいます。

「自分には直接関係ない」と見過ごす方が何の軋轢もないし、正直とても楽です。煙たがられてまでこんなコトしなくても、不妊治療している人が生きやすい世の中だったらなー。

それでも、多くの世間の誤解を解いて、事実を伝えて、状況を変えていきたいと思っているのです。

不妊治療を経験した人は、その状況や考え方が違っても、大きな枠で見ればやっぱり「チーム」だと思う。

だから、小さい事はいろいろあれど、実現したい方向性が同じなら、協力し合いたいな、と思っています。

これまでは、多くの人が「思っていること」でも、多くの人が「表に出さなければ」それは周囲には伝わらない領域でした。

でも、内々で文句だけ言っても、自分から動かなきゃ誰も変えてはくれないですしね~。だから、ひとつずつ、どんな形でも、動かしていきたいと思っています。

キレイごとでも汚い言葉でも正直何でもいい、世の中が変わったら勝ちですからね。(実際は勝ち負けじゃないんだけど(笑))