めありずむ

不妊治療の保険適用と理解促進に取り組むブログメディア(時々雑記)

一体、何個採卵すれば妊娠できるんですか?

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って、なんかキレ気味のタイトルでスイマセン(笑)度重なる採卵で疲弊している自分に向けたまとめ!

必要な卵子数にまつわる一般論のお話 

結局、何個の卵子採ればいいのさ?

どこまで頑張れば出産できる可能性が高まるの?

そんな疑問については何度か触れていますが、結局「何個」という話は書いていなかった気がするので、まとめることにしました。

以下は2017年に発表された論文で、年齢別の成熟卵細胞数別の生児を得られる可能性を示したグラフです。元々は卵子凍結の必要数を算出する目的で行われた研究のようですね。

ここで言われているmature oocyteは厳密には成熟卵細胞のことでovum(卵子)と言っていいのか?という感じがしないでもないですが、調べると成熟卵(極体がある)必要性のことを言っているようなので、ここでは卵子(成熟卵)と読み替えることにします。

年齢別・成熟卵細胞数別の生児を得られる可能性

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出典:Predicting the likelihood of live birth for elective oocyte cryopreservation: a counseling tool for physicians and patients | Human Reproduction

数字でみるとこんな感じ

年齢

生児獲得率90%に必要な卵子数

ドナー 16
<35 20
36 25
37 34
38 39
39 45
40 64

36歳で25個。それでも生児獲得率は90%なので、確実ではありません。また、この試験では他の不妊原因がある場合は考慮されていませんので、その点も注意が必要です。

まぁ、そもそも年齢というのはあくまで一つの指標に過ぎず、全体傾向でしかないので、個人に当てはまるかというと微妙ではありますので、その点は参考程度とお考えくださいね。 

実際30代後半でも1回目の採卵で成功する方もたくさんいますから、みんながこの数の卵子が必要ってわけではないです~!

年齢別の染色体正常率とも一致する

これは年齢別の胚盤胞の染色体正常率ともおよそ呼応しているように見えます。

以下の論文では、異常な染色体を持つ胚盤胞の割合を年齢別に調査した結果が掲載されています。

30代前半までが約30%台で、35歳以上になると異常率は上昇し、40歳で約60%、43歳以降では胚の80%以上は染色体が異常=無事に生まれる可能性はかなり低いということになってしまいます。

それだけ多くの卵子が必要ということになるわけですね。

(ちなみにご存知かと思いますが、染色体が正常な胚盤胞を得るには、卵子・精子それぞれの染色体構造、受精できる、分割できるといういくつもの壁を越える必要があるので31歳(異常率30%)で卵子が10個あっても染色体正常な胚盤胞が7個できる計算にはなりません)

年齢別の異常な染色体数を持つ胚(胚盤胞)の割合

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出典:The nature of aneuploidy with increasing age of the female partner: a review of 15,169 consecutive trophectoderm biopsies evaluated with comprehensive chromosomal screening

ちなみに、この研究も対象が体外受精を受けた全ての症例となっているので「何回も体外受精の治療に失敗した人」や「何回も流産した人」の症例ではなく、日本産科婦人科学会が臨床研究等で実施しているものよりもやや楽観的な数字になっている(異常率が低い)印象です。

以下の記事も用いている論文は上記よりちょっと前のものになりますが、ご参考までに!

相互転座がある場合の必要な卵子数にまつわるお話 

このブログでも扱っている染色体の均衡型相互転座は200組~300組に1組程度に発生している、決して珍しくはない現象です。

染色体の一部が入れ替わっているために、受精卵になるときに正常な構造の染色体ができにくく、理論上は転座がない人の1/2の割合でしか正常胚が出来ないと言われています。

で、相互転座のある人も正直かなり個人差があるので何とも言えないのですが、私がリプロで言われているのは「年齢でいえば少なくとも4~5歳程度上にいると思っておいた方が良い」ということ。

つまり、35歳の私は39~40歳の染色体異常率と思った方が良い、という話です。

5歳上の40歳だとすると、生児獲得率90%に必要な卵子数は64個~70個くらい。

私が今までに体外受精で採卵してきた個数と人工授精周期を合わせてもまだ57個、これでは正常胚は一度も引き当ててない可能性はかなりあると思います。流産も致し方なし、か。

(特に私の場合、染色体の中でも番号が小さく染色体のサイズとしては大きい部類の染色体の転座なので、うまく接合できない可能性はより大きくなる=より難易度が高い可能性があり、転座の場合人によっては正常胚が1つも見つからないケースもやっぱりあるんだそう。)

自分の肌感覚では100個くらいは必要そう。っていう感じ・・・(笑)1回に15個採れたとしたって高刺激で7回の採卵・・キツイよな。

費用的なものが一番だけど、身体的にも時間的にも、いやぁ・・・・厳しい現実ですわ。

こういう自分ではどうしようもない遺伝子の部分に問題を抱えていても、病気じゃないの、自己責任だの言われて、それで子どもを産みたいなら自分の責任として治療しな、って状態なの、これ当たり前なんでしょうか。高刺激7回採卵して凍結&PGT(着床前診断・受精卵の染色体数が正常か見分ける検査)したら600~900万円くらいかかります。(医療費以外にもお金かかるし、ぶっちゃけ産むまでに1人育て上げるくらい投資してるわ)

それでも一人生まれれば国としては十分な費用対効果ものだと思うけど、治療を受けられる財力がなければ、子どもを望む権利はないって言われてるのと同じですからねぇ。それって平等な社会なんだろうか?