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【本から学ぶ-vol.4】「OPTION B」で共感した「苦しみ」への寄り添い方

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本日は月1ペースになっている「本から学ぶ」シリーズの4回目。2018年後半に読んだシェリルとアダム・グラントの共著、「OPTION B」の中で特に「あぁぁぁ!それだ!」と思った第2章について取り上げたい。

「OPTION B 」とは

Facebookのシェリル・サンドバーグが夫を突然亡くす、という出来事を軸に、逆境や大きな悲しみ・苦しみからいかに立ち直るかを、たくさんの事例などから紐解いた書籍。 

OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び

OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び

 

心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折にどのように対処するかを長年研究し、「3つのP」が、苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにした。

  • 自責化(Personalization:自分が悪いのだと思うこと)
  • 普遍化(Pervasiveness:あるできごとが人生のすべての側面に影響すること)
  • 永続化(Permanence:あるできごとの余波がいつまでも続くと思うこと)

つまり、つらいできごとが「自分ひとりのせいではない、すべてではない、ずっとではない」ことに気づけば、子どもも大人も立ち直りが早くなるということらしい。 

作者はどちらも別の著書で有名な2人

私はどちらも好きな本なのでおススメではありますが、TEDで主張の要点はわかりますのでそちらも貼り付けておきます。(TED便利すぎよな・・・)

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲

 
GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

 

「ストン」という音が聞こえるほど腑に落ちた第2章

先に書いた通り、全体を通しては逆境からどのように立ち上がるか、自分を取り戻すかということが書かれているのだけど、

「第2章:部屋のなかのゾウ」を追い出すという章は「つらい話題を避けることが、相手の気持ちを慮(おもんばか)ることになるとは限らない」ということがテーマになっている。

(以下、引用だけど読まなくても問題ないです。)

心の痛む話題を避ける現象はあたりまえに見られるから、名前までついている。数十年前、心理学者は人が悪い知らせを伝えたがらない現象を指して、「マム(沈黙)効果」という用語をつくった。医師は回復の見込がないことを患者に告げたがらない。企業の管理職は解雇の通告を必要以上に遅らせる。私の同僚でフェイスブックのダイバーシティ推進責任者のマキシーン・ウィリアムズは、人種をめぐるマム効果に多くの人が屈していると指摘する。「丸腰の黒人男性が、免許をとり出そうとして白人警官に射殺されるような事件が起こっても、白人でそのニュースを見聞きした人や、その地域に住んでいる人、職場で私たちのとなりに座っている人は、何も声をかけてくれないことが多いのよ」とマキシーンは説明してくれた。

「人種差別の被害者は、喪失を経験した人と同じで、沈黙によって傷つけられる。苦しむ人がなによりも知りたいのは、こんな気持ちになるのは異常ではないということ、そして支えてくれる人がいるということ。黒人に関する重大な事件が起こっていないかのように振る舞えば、その2つを全否定することになるわ」。
 何もいわずにいると、家族や友人、同僚を遠ざけてしまうことが多い。ふつうの状況でさえ、ひとりきりで考えにふけるのは苦痛に感じられることがある。ある実験で、女性参加者の4分の1、男性の3分の2が、15分間何もせずにひとりで座っているより、電気ショックの苦痛を自分に与えるほうを選んだのである。沈黙は苦しみをかき立てることもある。私がデーブの話題を安心してもち出せる相手は、限られた家族や友人だけだった。でもほかの友人や同僚にも、私が話しやすいように気を配ってくれる人がいた。心理学者はそういう人たちを、「オープナー」[opener:相手の心を開き、自己開示を引き出しやすい人という意]と呼ぶ。「尋ねない友人」とちがって、オープナーはたくさん質問をし、評価や判断を加えることなく、返答にただ耳を傾ける。そしてなにより大切なことに、相手を理解し、気持ちを通じ合わせることに喜びを覚える。オープナーは苦境に置かれた人、とくにふだん控えめな人にとって、大きな救いになるのだ。

『OPTION B』 第2章 より アダム・グラント、シェリル・サンドバーグ:著 櫻井祐子:訳 日本経済新聞出版社:刊

当事者の「苦しみ」である出来事や悩みに触れることは、相手に「ネガティブなこと」を思い出させるのではないか。私たちは、そう考え、遠慮してしまいがちだ。

暗い話題には触れちゃいけないみたいな空気感、あるよね。

一方で、その当事者の頭の中は、その悩みや出来事で占められている場合も少なくないし、誰かにそのことを聞いてほしいと思っていることもあるけれど、相手がその話題に触れないのは「聞きたくないからでは?」と考え、自分からは話せない。

もちろん、誰もが自分の身に起こっているつらい出来事をオープンにしたいわけではないけれど、オープンにしたい人さえできないケースが多いのではないか、ということなんだろうね。

「不妊治療」について話すことをためらう人

シェリルが自身の体験として「悲しみに沈んでいたときは、自分の悩みを人に押し付けるようで気が引けて、本気で聞かれない限り自分からは話せなかった」と書いている。

これは個人的にはものすごい共感。そう、そうだよね、そうなの!

私自身も不妊治療の話をしている「親」「上司」「仲の良い友人」、誰一人その話題については触れてきませんね(笑)

上司に「週末どっか出かけたりしたの?」と聞かれ「病院です」って答えたら会話終わるからね!!(笑)

当事者としては生活の多くが不妊治療に占領されている状態、頭の中もそういうことばかり考えてる(私の場合はブログのネタを考えることもあってなおさら)から、そうなると、もう話す事なくなっちゃうんですよね~。

だからみんなSNSとか日常とは別の場所で同じ境遇の人と繋がったり、仲良くなったりするんだろうなぁ。

「不妊治療」について触れたくない人

一方で、周囲に当事者がいてもその話題に触れない人、言われても話題を逸らす人には2通りのパターンがあると思う。

  • 自分にはどう対応したらわからない話題だから避けたい
  • ネガティブな話をされることがうざい

触れ方が分からないだけの人

この本の中で語られているのはこちらだ。

同様の苦しみを経験したことのない人の多くは、ごく親しい友人や同僚でさえ、シェリルやお子さんになんと声をかければいいかわからないようだったし、シェリル自身はみんなが気詰まりを感じていたのはすぐわかったという。

結果的にその話題は会話の中から消され、コミュニケーションは上辺だけのものに感じられるようになっていった。

もちろん周囲の人たちに悪気はなくて、経験したことないから「どのように触れたらいいのかわからない」のではないかというのがアダムの指摘だった。

本当にその手の話題を嫌う人

一方、個人的にはそんなキレイごとでもないんじゃないかな~と思う。要はコレ。

この話を例に考えてみると、不妊治療だけじゃなく「悲劇っぽいこと」はごろごろあって、どれに対しても同じような心象を持つ人が一定数いるのではないかと思う。

なんだろう、24時間テレビに嫌悪感を抱くような感覚に近いだろうか。(話は逸れるが個人的には番組の内容というよりあの番組が本当のチャリティじゃないという一点に嫌悪感を持っている)

それとも不毛な愚痴と同じにされちゃっているのだろうか。

いずれにしても「ネガティブな話」を極端に嫌がったり邪険に扱ってしまう人はいると思う。この場合はちょっと複雑だからあえて関わらなくてもいいのかも。

「治療、どんな感じ?」

この本の第2章になぞらえると、もしその人が不妊治療をしていることを知っているならば、そんな感じで声をかけてもいいのではないかと思う。もちろん下の関連記事で紹介しているような「爆弾」は投げないでね。

そもそも隠したい相手には(業務上やむを得ずという例はあるだろうけど)基本的にはわざわざ治療していることは言わないという前提だけど。

聞かれても話したくない人は「まぁぼちぼちですね~」とか「それなりにがんばってますー」とか言って軽く終わらせるだろうし、話してくれる人には初歩的なことでも何でも聞いてみたらいいのではないか。

不妊治療がオープンで、選択肢の一つとして当たり前になる世の中に向けて、そんな一歩もありかな、と思った。

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