カオスマップというのは、マーケティングなどで使われる特定の業界に絞ってサービスや商品を提供する事業者をカテゴライズした業界地図のようなもの。
他領域は検索するとたくさん出てくるのですが、不妊治療界隈のものは誰も作っていなそうだったので勝手に作成してみました。
不妊治療&妊活版カオスマップ
ということで、要は特定の業界にどういったプレーヤー(サービス)がいるのかを俯瞰的に把握するという感じの目的ですね。
ちなみに、サービスの善し悪しとは関係ないのでご了承ください。
原則として以下の基準でピックアップしています。
- 2019年11月時点で何らかのサービス提供や活動を開始しているもの
- 日本国内で利用可能なサービス(OveSense(排卵日を99%予測できる自宅用キット)は微妙ですが海外Amazonで買えるので可にしました)
- 一応各サービスの提供者や直近の活動も確認した上で、(筆者主観で)怪しくなさそうなものだけに限定
- 検査薬、サプリメント、基礎体温計などの量販されているもの、および不妊治療や妊活がメインではないサービスについては対象外とした(販売サイトのみ例外的に含有)
- 企業名だと認知度がないケースも多いようなので、サービス名を基本としていますが、一部企業名・組織名が混在しています
どこまで広げるか迷ったのですが、基本的なベースとしてはこのあたりが現状のメインプレーヤーではあるかなと思います。アプリなどはメインどころに絞りました。
あとは関連領域として、プレコンセプションケアや性教育分野、卵子提供・精子提供、卵子凍結、里子養子といったエリアまで含めるかですがまだ時期尚早感があるので今回は見送りました。
また更新していくつもりなので、抜け漏れとか最新情報があればぜひぜひ教えていただけるとありがたいです!!
【参考】Femtech(海外メイン)のカオスマップ
海外のfertility系のカオスマップも探してみましたが、広くカバーしてそうなものがなかったので参考までにフェムテックのカオスマップを拝借しました。
(個人的にはTTCやFertilityはFemtechではない(男性も大いに関係するから)と思っているのですが。)
出典:Femtechカオスマップ2019を発表!国内外のアイテムが一堂に集結した 「Femtech Fes!」イベントレポート
こうしてみると、フェムテック×Fertilityという限定的な領域でもかなりたくさんのサービスがありますねぇ。中身は検査キットのようなものから、オンライン相談や病院レコメンドなどのWebサービス、排卵予測のアプリまで様々です。
いくつかこれは日本でも欲しいなと思うサービスもあって、今後の展開も気になるところ。
不妊治療領域のビジネス参入は確実に増える
私が個人的にカオスマップを作成してみようと思ったのは、他領域と比較した時の不妊治療・妊活領域の「まともなビジネス」が対象人口のわりにあまりに少ないような気がしたから。
(妊活領域はかなり増えているし、まともじゃないビジネスは飽和状態だと思いますけどね)
実際、マップを作ってみて「全然カオスじゃねぇ・・・!(スカスカに少ない)」という印象は変わりませんでした。
例えば近しいところでいうと、自由診療である美容整形領域、同じく疾病である認知症領域、LGBTQ領域、障がい者支援、育児領域などなど・・対象市場規模(対象人口)に違いはあれど、不妊治療領域よりは新規ビジネスの参入も多く、それなりに活況であるように見えます。
不妊治療領域のビジネス参入が遅れたのはなぜか?
これまで日本で不妊治療領域のビジネスが発展してこなかった主な理由は以下のようなものでしょうか。
- 当事者以外はほとんど何が起こっているかわからないほど実態周知がされていなかった
- 企業が「不妊=女性の問題」という固定観念から抜け出せず、研究やビジネス領域としての投資対象にならなかった
- 治療期間自体が人生の中で一過性のものであるため、当事者も含めて不便や違和感を感じても「やり過ごしてしまう」ことが多い
- 治療自体にあまりに疲弊し、当事者や経験者が自らサービスを立ち上げるようなエネルギーが残っていない
- クリニックや医師側が圧倒的に強い権力や決定権を保有しているという業界構造
でもね、そういう時代の終焉はすぐそこまで来ています。
それは"Femtech"という領域の台頭を見ても明らか。
そして、今後「妊活・不妊治療」と向き合う人の割合は増加する一方なのも、残念ながら事実だと思います。
仮に、不妊治療が保険適用になっても、新しい技術がどんどん認可されても、仕事との両立を担保する法律が施行されても、私達の不妊治療に対する「悩み」や「ニーズ」のほとんどは今と変わらないような気がします。(今よりは相当マシになると思うけど)
(唯一、クリニックの技術や治療体制が均一化されれば、クリニックを選ぶ・治療法を選ぶという選択肢はかなり限定されるかもしれないが、まぁ難しいでしょうね・・)
そして、持続可能性という点では「付加価値を提供し、その対価を得る」ことで利益を上げ再投資する、というビジネスとしての構造も必要条件です。
そういう意味で、この領域で「患者がより効率的な、後悔のない治療を選択し実施するためのサポート」を目指すビジネスはまだまだ可能性があると思うわけです。
不妊治療最大の課題は依然として経済負担
ビジネス的に解決でき得る部分もたくさんあると思う一方で、不妊治療最大の課題はやはり患者の経済負担の重さです。人工授精、体外受精などの高度生殖医療は保険適用外のため、患者の平均自己負担額はおよそ200万円という調査結果が出ています。
成功率が高い20代~30代にとっては厳しい金額ですし、自治体の助成金は所得制限があったり、金額も必要費用の半分にも満たないケースがほとんどです。
ということで、個人的に保険適用を求めるアクションをしておりますので、ぜひご賛同いただけますと嬉しいです!