不妊治療をしているとついつい実臨床にばかり注目してしまうけれど、それらを支える研究もたくさん行なわれているんですよね~。
KAKENの研究課題DB
今日は日本で実施されている不妊治療に関連する研究の中から(2019年4月時点で進行中の研究だけで30件あったよ!)特に気になる研究課題を拾ってみたのでご紹介!
科学研究費助成事業データベースは、文部科学省および日本学術振興会が交付する科学研究費助成事業により行われた研究の当初採択時のデータ(採択課題)、研究成果の概要(研究実施状況報告書、研究実績報告書、研究成果報告書概要)、研究成果報告書及び自己評価報告書を収録したデータベースです。科学研究費助成事業は全ての学問領域にわたって幅広く交付されていますので、本データベースにより、我が国における全分野の最新の研究情報について検索することができます。
こちらの科研のDBは誰でも閲覧可能です。ただ、研究費の助成がされていないものは登録がないので、研究の全てが載っているわけではありませんのでご注意を。
進捗状況が分かる体外受精に関連する研究
いろいろ気になるタイトルの研究課題はありましたが、現時点で進行中かつ進捗状況が開示されているものをピックアップしました。
- 【滋賀医科大学】ヒト精子に存在する膜タンパク質 (SPACA1)が卵子活性・胚発生に影響するかも!SPACA1の胚発生に与える影響の解析とそれを用いた難治性不妊症の治療法の開発
- 【東京大学】白血病抑制因子(LIF)が着床や胚に影響しているかも!それをコントロールできると着床障害などの治療になるかも!エピゲノムに着目した着床における胚と子宮の相互作用の解析
- ちなみに上記を調べてたら出てきた別の研究で、胚が子宮内膜に浸潤する着床のメカニズムを解明~胚浸潤を可能にする子宮内膜の低酸素誘導因子 HIF2αの作用~ てのも。
- 【東京医科歯科大学】ヒト受精卵の分割期に発生し、着床率低下につながるフラグメントの発生原因および機構を探り、良好な受精卵の培養への応用を目指す!ヒト受精卵に発生するフラグメントから胚発生不良の原因を予測する方法の開発
詳細はまだ分からないけど気になる研究
- 【独協医科大学】オートファジーの細胞質恒常性維持機能を利用した卵子・胚の細胞質品質改善方法の開発
- 【長崎国際大学】精子活性化作用を有する天然物を用いた不妊症治療薬の開発
- 【三重大学】 iPS細胞からミュラー管細胞への分化機序の解明:新規不妊治療法の創出を目指して
- 【東京大学】Mdm2-p53を基軸とした卵巣機能調節と不妊治療への応用
- 【国際医療福祉大学】低侵襲な卵胞活性化療法の開発による高齢不妊治療の革新
- 【兵庫医科大学】セロトニンによる新たな男性不妊治療法の開発
患者支援に関する研究
こういうのって「民」がやるしかないのかなと思っていましたが、「学」でもいろいろ検討されてるんですね~。治療していると治療の技術領域ばかりに目が行き勝ちですが、正直この領域もわりと急務な気がします。
- 【新潟県立看護大学】不妊治療の終結をめぐる夫婦の意思決定支援に有用な看護アセスメントガイドの開発
- 【名古屋市立大学】不妊治療終結後の特別養子縁組推進にむけたシステム構築
- 【大阪市立大学】不妊治療後に流産を経験した女性のレジリエンス促進支援システム構築に関する研究
現時点でこの段階であれば、仮に成果が出て実臨床で使えるようになるにしてもだいぶ先なので今治療している方に直接ヒットするものは少ないでしょうけれど、生殖医療の領域はまだまだ技術進歩が期待できる領域なのかなと思っています。
日本では研究者って現実的な道としてはなかなか選びにくいけど、やってみたかった職業でもあるな~。