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卵子の質:染色体数異常の原因は「コヒーシン」の減少?

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卵子の染色体異常の原因(つまり卵子の質と言われるやつ)に関する理研の研究論文で、発表されたのは2015年と3年前なので、続報まだかなと思っている研究があります。

発表当時は、ニュースでも扱われたりしてそれなりに話題になったと記憶していますのでご存知の方も多いと思います。

当時の私は31歳、まさかこんなに不妊をこじらせるとは夢にも思わずほぼスルーしてしまっていたので、しっかり理解しておこうと今回改めてリリースを読んでみました。

公式リリースは、これでも平易な言葉にしてくれているのかもしれませんが、まー、とにかく1回読んだくらいじゃ全然入ってこない!(笑) 

ただ、染色体異常となる原因が特定できれば、それを防ぐもしくは避ける方法を見出す大きなヒントになり得るということで、個人的にはとても期待している研究です。

理研のリリース内容

加齢による卵子の染色体数異常の原因を特定 | 理化学研究所

加齢による卵子の染色体数異常の原因を特定 | 60秒でわかるプレスリリース | 理化学研究所

研究テーマ: (2) コンデンシンとコヒーシンによる染色体構築の制御 - 平野染色体ダイナミクス研究室

要点をすっごいざっくり言うと・・

  • 鍵を握るのは「コヒーシン」という染色体を分配結合させる機能をもつタンパク質複合体で、「染色体接着因子」とも呼ばれる。
  • 卵母細胞が分化(減数分裂)をして卵子を作る際に、コヒーシンが染色体を正しく配分する役割を担っている。
  • 理研が加齢の進んだマウスの卵母細胞の染色体数を観察実験し、コヒーシンが染色体上から減少し、これによって減数分裂の際に染色体分配にエラーが生じやすくなるという仮説の裏づけられた。
  • コヒーシンが減少することで染色体の結合が緩み、適切なタイミングより前に分離してしまうことで分配の誤りが発生すると推測される。
  • コヒーシンが減少する原因を解明できれば、染色体の早期分離を抑える方法が見つかる可能性があり、染色体異常が主原因の不妊症の治療にも生かせるのではと期待されている。
  • コヒーシンを増やす方法は解明されていない。(プロテインなどのタンパク質の摂取が有効というのはウソ)

個人的に期待していること

  • 20代、30代前半でも良好卵子が得られないような人は、同年代の一般女性よりもこの「コヒーシン」が少ない、もしくは機能が弱い可能性はある!
  • 特にこの世代の「原因不明」と言われる不妊症の解明、治療になんとか役立ってほしい!
  • 寿命の延びと共に出産可能年齢も延びること(これは賛否両論だとは思いますが、女性の選択肢を増やす意味では寿命に連動するのが理想だと思う)

コヒーシンは他の様々な疾患にも関連してそう

「コヒーシンによる転写抑制と関連疾患」

Journal of Japanese Biochemical Society 89(4): 525-532 (2017)

 「コヒーシンの機能低下により不安行動が高まるメカニズムを解明」

コヒーシンの機能低下により不安行動が高まるメカニズムを解明 — リソウ

 

がんも遺伝子のエラーということを考えれば、加齢に伴う疾患の多くはコヒーシンの減少や機能低下と関係があるのかもしれないですね。

もちろん、この研究が進んでも、100%染色体が正常にできるとは思えませんし、ちょっとした掛け違いが起こってしまうことは避けられないと思います。

ただ、もうここまで分かっているということは、まだ治療に希望があるかもしれない、と思っていますし、これから出産適齢期を迎える方々には、更に希望になるといいなと心から願っています。

(まー、こういう研究が臨床現場までやってくるにはとてつもない年月がかかりますので期待しすぎも良くないけどね)

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