めありずむ

オリジナルの記事にこだわって、等身大かつ独自視点で不妊治療まわり(と、時々趣味)のことを発信しています。

不妊治療(妊活)クライシスかも?と不安な方へ

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世間には「不妊治療(妊活)クライシス」という夫婦関係の危機が存在するらしい。妊活や不妊治療に対する温度差を発端に夫婦仲に溝ができてしまうことを指す。

我が家の場合は、ある出来事をきっかけにこれを避けてこれていると思うので、誰かの参考になればと思い記事にさせていただくことにしました。

もちろん個別の例に過ぎないので、お力添えにはならないかもしれないし、本当に夫婦で意識が違うというケースも考えられますが、結局はお互いに話し合うことで夫婦で同じ方向を向けるといいなって思っています。

男性の気持ちを初めて知った日

夫婦間での気持ちのすれ違い

妊活を初めてから3年目に入りAIHをしている頃、リセットの度に、落ち込んでいるのはいつも自分だけのような気がしていました。

旦那のジョーは本当に淡々と「また頑張ればいいよ」「どんまい!」みたいなことばかり言うし、ネガティブな発言なんてほとんどしない。一緒に落ち込むことさえしないのです。

正直、「この人、ほんとに子ども欲しいのかな?結果が出なくて悲しくないのかな?」と思う事も少なくありませんでした。

治療自体には協力的ではあるものの、なんとなく治療に対する熱量に違いがあるような気がして、ちょっとすれ違ってしまっているのかな?と感じていたのです。

琴線に触れるのはちょっとした言葉

1年前の2017年8月、そんな、ちょっとモヤモヤした気持ちを隅に抱えて体外受精(IVF)にステップアップしました。

しかし、高刺激のアンタゴニスト法にも関わらず採卵できたのは4個、凍結は2個。この結果は「特に卵巣機能に異常はないし、年齢的にも複数の胚盤胞凍結を目指せる」と診断されていた私にとってはかなりショックな結果でした。

私:「なんで?なんで?50万円近くかかってるのに良好胚盤胞を1個も凍結できないの?」

ジョー:「仕方ないじゃんか、ダメならまた頑張ればいいだけだよ」

この言葉の私の琴線に触れて、なんでそんなことを軽く言えるわけ?!とちょっとけんか腰になってしまったわけです。

「あなたは何も気にせず採卵当日に精子を出すだけでいいかもしれないけど、私は毎日嫌な注射を打って、仕事を調整して通院して、飲みにも行かず、毎日食事に気をつけて運動してお灸して努力してるんだよ、こんなの何回も何回も続けるなんて無理だよ!!!」

旦那さんの秘めた思いを知る

喧嘩になることを承知で言いたい事を言ったつもりだったのですが、ジョーは予想に反してこう言ったのです。

ジョー:「辛かったら治療はやめよう。すごく大変なことはわかってるつもりだし、俺は子どもはいたらいいなって思うけど、メアリーと一緒に居られればそれだけでも十分幸せだよ」

私:「子ども、そんなに欲しくないってこと?」

ジョー:「そうじゃないよ。すごく欲しい。親にも孫の顔見せてやりたい。」

私:「でも全然そんな風に言わないじゃん、つらいと思うこととかないのかなって感じる」

ジョー:「つらいと思う事はあるよ、同僚に子どもの話をされる時、なんでうちはできないんだろうって思うし、俺が悪いのかなって考えることもある。

でも、俺がつらいってことを表に出したら、女性は妊娠できないことを責められているような気分になるって聞いたから」 

 気遣いを忘れていたのは自分の方だった

もしかすると、男性は「興味がない」でも「ショックを受けない」のでもなく、妻への愛情ゆえにあえて素っ気ない態度を取っているだけかもしれない。

自分が一緒に落ち込んだら、私を余計に苦しめてしまうかもしれないと考えて、負担にならないように、気にしないように努めている。私は、ジョーのそんな気遣いに、気づけていなかったのだとハッとしました。

「私が傷つかないように余計な事言わないようにしてくれてるんだよね、我慢してくれてるんだよね、いつも本当ありがとう。時々ひどい事言ってごめんね。」

そう謝罪と感謝の気持ちを伝えました。

考えてみれば、私の方が気遣いもなくジョーに対してひどい事を言ってきたと思います。

採精が必要な前の晩に接待でベロベロに酔っ払って帰ってきたとき、自分が悲しい思いをしたことをぶつけても軽く流されたとき、治療の結果に落ち込んでいても同調されなかったとき。

でも、それは間違っていたかもしれないと初めて理解しました。

不妊治療でつらいのは男性も一緒

考えてみれば男性だってつらいのは同じです。

ランチタイムに子どもの話ばかりされること、「子どもいないの?」と聞かれること、親子で幸せそうにしている姿を見て心がざわつくこと。そういう精神的なダメージは、男性も女性も違いません。

治療における直接的な痛みは確かに少ないですが、急に「明日の朝、質のいい精子を出せ」なんて、きっと簡単なことじゃないと思います。

実際ジョーも採卵が近づくと、「いつになりそう?」と毎日のように気にして、減煙したり飲み会を調整したり入れ替えしたりして準備してくれています。

さらに女性よりも治療における時間的な制約が少ないこともあって、不妊治療している事自体を会社に言わない、言いたくないという人が多いです。その結果、子育てをしているわけでもないため、断れない接待や出張が容赦なく入ったりします。

「周囲の理解が得られない」のは、女性より男性の方が多いのではないでしょうか。しかし、不妊治療について発信される情報は女性視点のものがとても多いのも事実です。

この件で、表に出ることだけが強い思いとは限らないということを改めて思い知りましたし、不妊治療当事者である自分でも「見えていない」ものがあるのだと痛感しました。

不妊治療クライシスをどう乗り越える?

我が家では、この出来事をきっかけに、お互いに思っていることを丁寧に話し合いました。

私は自分の気持ちに対して一定の「共感」がほしいこと。時々でいいから本音も教えて欲しいこと。それで責められているような気分にはならないから大丈夫だということ。

ジョーは自分の努力もちょっとだけ認めてほしいと思っていること。子どもが欲しいけれど私が無理をしすぎない事が一番大事だと思っていること。

そして生き方の正解は一つじゃない、自分たちが疲弊して笑顔を失ってしまうような治療は続けないようにしよう、ということを確認しました。

こういう話ができたのは、「自分が見えている世界がすべてではない」ということに気づく事ができたからだと思います。

仮に治療に対して温度差があるように感じていても、不妊治療に否定的な方でなければ、男性は男性で何か思っている事があるかもしれませんし、それをあえて言っていないかもしれません。

会話によるコミュニケーションを重視する女性にとっては、ちょっと面倒と感じる側面もありますが、相手も何か思いがあるのかもしれない、そんな気遣いを忘れずにいられるといいですよね。

もう我が家には不妊治療クライシスはやってこないでしょう。

どんな未来であっても、この人となら受け入れて乗り越えていけるだろう、きっと楽しく暮らしていけるだろう。今そう思えていることに本当に感謝しています。

釈迦に説法ですが・・・

私はいつも、不妊治療に対する社会的な認知、理解度を上げたい。「子育て」と同じくらいに市民権を得て、必要な人が誰でも取り組める社会になってほしい。そういう思いでブログ記事を書いています。

だから、不妊治療をしていく上で、大変なところ、つらいこともたくさん表現しているつもりです。そりゃもう毎月泣くくらいつらいことの繰り返しであることは事実です。

周りには察しもせずにお子さんは?とか社交辞令的に聞いてくる人、子育てをして一人前とか平気で発言する人もいます。

ほとんどの人が自然妊娠で産めるのになぜ自分は不妊症なのかと、その理不尽さに本当に傷ついています。

その一方で、不妊症でもこうして「治療」による希望を見出せていること、治療に取り組めること自体にはある意味では感謝もしています。

(だからって少子化を問題視する裏で政府も社会も知らんぷりはおかしいと思ってますけどね!) 

もしも自分が、子宮を摘出せざるを得ない病気になっていたら。数万円も捻出することが難しい家計だったら。愛する旦那さんを早くに亡くしてしまったら。治療を受けられないような国に生まれていたら。50年前に生まれてしまっていたら。そもそも結婚したくても相手に巡り会えなかったら。この年代で離婚せざるを得なかったら。

子どもを持ちたいと願う中で、不妊治療という一筋の希望さえ掴むことができないケースだってあるのです。愛する人と家族を持ちたいという希望を持てることだけでも、自分は本当に恵まれている。それを忘れないで、治療に向き合いたいなと思います。