めありずむ

不妊治療・育児・Mr.Children・手帳・雑記ブログ

厚労省の「不妊治療等に係る当事者ヒアリング」とは何だったのか

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結局このヒアリングの意味があったといえるかは(我々が参戦するまで)わからないけど(笑)、2回を聞いた限り、何のために開催されたのかさっぱり理解できませんでした。

待ちに待った「当事者ヒアリング」のはずだった 

厚労省と、参加者と、そして今実際に治療に向き合っている人達との「温度差」しか感じない時間となりました。第2回も散々だったけど、特に第1回についてこの記事では書いてます。

第1回に関しては、三原氏の言うように「不妊治療」のヒアリングであったのならば、これは明らかに「失敗」だと思います。その理由をこれからつらつらと書きますね。

もし厚労省がここから有益なヒアリングができたとするのならば、それは単にこれまでの要望を聞いていない整理していないって暴露してるだけと言わざるを得ない。

SNSでの反応は、とあるアラ子さんがTogetterにまとめてくださっています!

1.「現役世代の当事者」には話を聞いていない

正直ビックリしました。驚いたのは2点。

  1. 不妊・不育治療の環境改善を目指す当事者の会にはオファーがなかったこと
  2. 現役世代の当事者は4人中1人(東京新聞の川田記者)しかいなかった

当事者の会はここ1年かなり精力的に活動し、直接の意見交換でも厚労省担当課の職員の方々とも何度もお会いして参りました。現役世代の当事者の声を聞くよう強調してきましたし、当事者団体としては認知頂いているようでした。

今回のヒアリングについて、打診すらいただけなかったことに憤りを通り越してバカにされてるのかと思いましたよ。

さらに参加者は今まさに治療と向き合う世代の当事者じゃない。懸念通り、もう正直それじゃない感ありありで、川田記者のお話以外はツッコミの方が多かったです。
まぁ、それもこれも、根源は厚労省の「人選」にあると思いますが、これはもう「当事者ヒアリング」とは言えません。

情報が全然最新じゃない

まずはこれですよね・・

しかも「昔はこれが大変だった、今はネットがあるから」という発言に集約されているように、もう課題感が全然違うところにあるんですよ。

これが「有識者」や「支援者」としての参加ならば当然情報はアップデートされいるべきですし、「当事者」としてならやはり「今、直近までに治療している人」を呼ばなければいけないということです。

誰かが言っていた通り「不妊治療の歴史」を聞いてるんじゃないはずなのに。 

心理的サポートはもう次の段階に進むべき

そして今回のヒアリングで目立ったのが「心のサポート」や「啓発」という話。

もちろんどちらも大事ではありますが、どちらも長年言われていることで、かつ国はあまり得意ではない領域です。

必要な支援のごく一部でしかない、何十年も前から言われている話を、まだイチからヒアリングしなきゃいけないのか、ということにクラクラします。

今は保険適用が見えてきて、やっと他の具体的な対策について話ができる段階になったというのに、なんでこんなところで立ち止まっているんだか。

これは啓発もそうですよね。どうせ外注するのだから、どの層にどんな内容を啓発すべきなのかを定量化し、メディアなのか、学校教育なのか、健康診断なのか、クリニックなのか、どのように啓発を行っていくかを受注先も含めて相談すれば良いんじゃないんです?

2.テーマ、目的、ヒアリング項目すべて曖昧

そもそも今回のヒアリング、テーマ設定がものすごく曖昧。

「不妊治療」なのか「養子縁組」なのか「ご自由に」なのか、参加者によって認識が違う。これが厚労省側のコミュニケーションミスによるものなら目も当てられませんな・・テーマと目的って一番最初に押さえないといけないとこですよ・・。

目的については、冒頭、三原副大臣からは「政策に活かすため」との趣旨説明があったけれど、そんなの厚労省がやるんだから当たり前の話で、政策の中の「何に活かすのか」で話す方も言うべきことが本来は変わると思うんですよね。
しかも一人10分なんて限定するなら、本来は話ができても要望とその理由や根拠を説明したら2-3個が限界でしょ。。

  ・どのような媒体でどのような情報が得られれば有用であったか
  ・どのような支援が得られれば有用であったか
  ・どのような時に社会全体の理解が足りないなと感じたか 等

って言われたって、対象がありすぎるんですよ。

そもそも既存の取り組みに対する改善なのか、新規の取り組みの検討なのか、実態調査で明らかにするべきことなのか、助成金や保険適用の設計に関することなのか、医療制度に関することなのか、既存の厚労省の取り組みに対することなのか、それとも広く啓蒙活動していくテーマなのか、それでもう全然違う話になりますよ。

だから、何を目的としたヒアリングなのか、この結果がどこにつながっていくのかを明示してくれないとさ、無駄じゃない?

3.「名前顔出し」で配信する理由が意味不明

で、おそらく当事者の会が呼ばれなかった理由もここに起因すると思うのですが、なぜか急にYouTube配信。

ヒアリングでも当事者側の川田氏が「今回にとどまらず継続した当事者ヒアリングを望む」と発言してくださったのですが、三原氏がそれに対して「ヒアリングは今後も続ける、顔名前を出して頂ける方でいろいろな立場の方からお伺いするよう努める」という趣旨のコメントをされました。

結局大した広報もなく、私達がSNSで多少宣伝したようなもので、平日昼間だし視聴者は常時60名台で、MAX75名(たぶんほぼ報道関係と我々SNSで知った当事者のみ)という結果。こんなの広報的価値もない(アーカイブ残さない時点でそのつもりもないのでしょうが)。一体何のために配信してんの?

本当に当事者が抱える苦悩や不安を全く理解していない、想像力の欠片もない対応だと思うんです。別に誰も厚労省の出す議事録を疑ったりしませんから、ちゃんと一般の現役世代の当事者にヒアリングして、その結果は対象者の属性を出す程度で開示すれば十分なんじゃないですか?

一体なんのために、どういう目的で、名前顔出しで配信なんて意味不明な条件付けるんですか?

4.時間配分ファシリテーションおかしい

そもそも1人10分ていう時間の短さもそうですが、意見交換にも10分しか充てられていないことに非常に違和感を感じました。

本気で聞くつもりがあるならば、出た意見をより深めたり、具体化する作業は必ず必要で、意見交換というのはそのために設けられているはずです。

それなのに、驚愕だったのが、意見交換でまともな質問も、何の意見も出なかったこと。ごめん、もうまじで信じらんない。だれも「意見交換する」意識がない。

厚労省側からも質問は2つだったかな(ピアカウンセラーと、発表内容の具体的な部分で補足的な意味合い)、当事者からもなし、発言がないので三原氏が当事者の発表内容に対してそれを繰り返し「よくわかりました、ありがとうございます」って、それこの限られた時間でやること?

コメント欄でも開放してくれれば、こちらから「○○についてどう思いますか?」くらい話題を振ったのに・・(笑)

だいたいさ、こういう場面って発言しずらいことも想定して、発言がない場合にどう回すかシミュレーションしておくもんじゃん。

時間の無駄遣いすぎてフラストレーションが限界値まで上がりました。

5.当事者の属性偏りすぎ

で、1で書いた「世代」の問題の他にも、当事者の属性があまりに偏っている。

特に第2回の方の職業は、アナウンサー、ダンサー、女優、漫画家・・要は表舞台に出る方々です。不妊治療や養子縁組についても公表されている方々です。

当事者の99%はそのような方ではない一般人で、職業は会社員やパートや主婦だし、所得層としても幅があるし、年齢はもちろん、居住地だって都心からクリニックを選べないような地方まで様々。ステータスも治療中、妊娠出産した人、授からずに治療をやめた人、養子縁組もあるし、精子提供や海外で卵子提供を受けた人もいます。今回は男性不妊として川田氏が呼ばれていましたが、不育症もある人、婦人科疾患が原因の人、若くても原因不明の人、治療開始が遅れてしまった人、様々です。

個人の体験に基づく意見はもちろん価値がある。しかしそれは、多様な立場の人からの話を聞いて初めて価値になるもの。

SNSを見ていても、当事者でも感覚が違ったり意見が割れるのは、概ねこの基本属性の違いが大きく影響していると思います。だから、一部の層の声だけを=当事者の意見として受け取るのは非常に危険で、この属性の偏りは絶対に解消していただかないと困ります。 

結局はただの「仕事やってる感」じゃないのか?

ということで。

ここまで見てきて、今回の当事者ヒアリングはただの「仕事してる感アピール」で中身は何もない、と考えるのが妥当だと思っています。だって厚労省が話を受けて何をすればいいかが見えたようには思えない。

厚労省職員の方々がそんなに仕事できないなんて信じたくないし、どうすれば良いかなんてわかってるしやればできるけど、サボっているのだ、と解釈しています。

でも僭越ながら、ステップとしては以下のように進めるべきだと思うって話も書いておきますね。

【厚労省の不妊治療・不育治療関連の施策検討ステップ】

  1. 過去に厚労省へ寄せられている関連要望(と対応状況)の整理
  2. 詳細が把握できていない要望については(現状を知る)当事者ヒアリング(ここで1での要望の抜け漏れもチェック)
  3. 2とすでに把握されている要望についての実態調査(定量評価)
  4. 3を踏まえた必要性の判断と取り組み意思決定のための検討会

最終的には厚労省が自分たちで持ち帰り検討じゃなくて、関係者を巻き込んでの「検討会」を開催してほしいんですよね。

正直、厚労省持ち帰りにしたところで話が劇的に進むとは思えないし、有識者も当事者も同じ土俵で、その場で各テーマに対して各ステークホルダーがその必要性を合意形成し、国がやるのか学会や医師会が主導するのか、はたまた別法人を立ち上げないと無理なのか仕分けをして、担当毎に今後のロードマップを作って、進め方を計画して進捗管理や出てきた課題検討をしていく必要があるのではないかと。

自分の話で恐縮ですが、私の仕事にはいわゆるプロジェクトマネジメント業務があって、「人(部署)をどう巻き込んでどの順番で動かしたらプラン通りにゴールにたどり着けるのか?」ということを計画・進捗管理する立場で厚労省の仕事を見てしまう。

ゴールの形は当然様々ですし、ステークホルダーの扱いにくさも私の仕事とは比べ物にならないほど難しいことは承知していますが、本当に進める気があるのなら、せめて無駄のない時間の使い方をしてほしいのです。

何の実態を調べるべきなのかの整理もされていない「実態調査」など意味がありませんし、何を明確にしたいのか定義されていないヒアリングも意味がありません。そんな無駄なことに、貴重な税金と貴重な職員の時間を使わないでほしいのです。

偉そうに、と思うかもしれないけど、不妊治療関連の厚労省の仕事のやり方は数年拝見してきましたし、直接のやり取りも何度かさせて頂きました。こちらも不妊治療の環境を体感し、多少なりとも調べてきた自負はあります。その上で、今の動き方はどう考えても方向も違えばスピード感もない。いいところが何一つ思い浮かばない。

「ブラック霞が関」を作っているのは誰なのか

以前から厚労省の仕事のやり方が解せませんでした。何度もイライラさせられています。それで、私の知らない理由があるのだろうと、この本が発売されて割とすぐ拝読しました。

 

ブラック霞が関(新潮新書)

ブラック霞が関(新潮新書)

  • 作者:千正康裕
  • 発売日: 2020/11/18
  • メディア: Kindle版

 

 

ここで書かれている内容には何の異論もありませんでしたし、実際政治家との仕事の関係性は見直すべきところも多いのだろうとわかります。

しかし残念ながら、私が感じている「そもそも仕事のやり方に無駄が多すぎる、俯瞰的じゃないし目的思考じゃない」という仕事に対する基礎的な感覚っていうのは触れられてなくって、なんでこんなことになっているのか、本当の根本はわかりませんでした。

そんな仕事のやり方、成果がとか評価がとかじゃなくて、やっていることが1ミリも前に進んでないって、単純に働いててしんどくないですか?

 

今回のヒアリングに異議のある皆さま、厚労省へのご意見は以下から!

名前は仮名でもなしでも良いと思います。