めありずむ

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「アルツハイマー病 真実と終焉」の概要と感想

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最近は、忙しいこともあってなかなか昔のように湯水のごとくいろんな本を読み漁るみたいな時間はなくなったので、良書を選んでじっくり読むようなスタイルに変えています。

本日ご紹介する本はこちら。

アルツハイマー病 真実と終焉

アルツハイマー病 真実と終焉"認知症1150万人"時代の革命的治療プログラム

 

なぜこの本をチョイスしたか?

私が常日頃訴えているのは「不妊治療費の保険適用」です。保険適用するためには当然ながら財源が必要です。日本の社会保障って何が課題なんだろう?と考えると、結局、今の日本は高齢者医療にあまりにも無駄な事にお金を使っていることが見えてきます。

その最たるものは(いのちのコスト:第2回)でも取り上げている通り、高齢者の「最期」にかかる高額な延命治療ではないかと思いますが、それと同時に無視できないのが「認知症」にかかる医療費です。

厚生労働省と慶應義塾大学の研究班の「認知症の社会的費用」に関する研究によると、認知症によって年間にかかる社会的コストは医療費が1.9兆円、介護費6.4兆円、インフォーマルケアコスト(家族等が無償で行なうケアの実質コスト)6.2兆円と推計されています。しかもこれがことごとく効果を成していない実態。これもまた、不妊治療の保険適用を行なうに十分な財源に値するものです。 そこで、この「認知症」をなんとかしなければ高齢社会としての日本は立ち行かないと考え、読んでみる事にしたわけです。

アルツハイマー型認知症は老人病ではなく生活習慣病

私の勝手な解釈ですが、書籍の中のキーメッセージは4点だと読み取りました。

  1. アルツハイマー型認知症は老人病ではなく生活習慣病である
  2. 今世の中にある「認知症治療薬」は症状の軽減・改善効果はほとんどない
  3. リコード法はタイプ×個人によって適切な治療法は異なる
  4. 個人差はあるものの40歳を境に認知機能の低下は起こる可能性があり、若年のうちから検査や対処をしておくことで避けられる病である

「リコード法」って結局は何のこと?

簡単に言えば、「脳に対して悪影響を与える因子を減らす」ことのようです。アルツハイマー病は脳を守るための正常な防御反応であり、脳に加わる36個の脅威となる因子を取り除く事が重要という主旨。

具体的にはホモシステイン値などかなりの数の検査値において目標値があり、その値を目標値に近づけていくために食事、運動などの生活習慣を改善していく方法が取られているようです。

  • 毒素を取り込まない、溜めない
  • 運動する
  • ストレスを溜めない
  • グルテンを取り過ぎない

ざっくり感想

「リコード法」が実践録のような形で記載されているので、ちょっと読み取るのが大変です。もう少し箇条書きとかチャートにするとかの方が親切なのにな、とは思いました。逆にそれくらいやる気のある人じゃないと取り組めないのかなと(笑)

また、少しグルテンフリーに傾倒しすぎな気はしましたが、一部の臓器や症状だけでなく総合的に診断すること、生活習慣を見直す事、運動で改善したという実例はそれなりに説得力がありますし、今の治療薬は改善しないと言いつつ薬自体を否定しているわけではないのでそこらへんのトンデモ偽研究者ではないような印象を受けました。まだ大規模臨床試験の結果次第な所もありますが、指標となる検査値のトラッキングが各クリニックで比較的簡単にできるようになれば薬を使うよりもよほど有効な手段になり得るかもしれません。

脳についても一般の健康診断でプロトコルを定めて毎年チェックするような機能を持つ必要があるような気がしますね。それによって何兆円もの医療・介護費が削減できるのであれば健診項目を増やす費用対効果は十分あると思います。

また、以下は日本でお母様がリコード法を実践されている方のブログで、とても多角的に書かれているのでご興味のある方はぜひ。

alzhacker.com

おまけ

ちなみに、食事法がかなり重要だという主旨でしたが、推奨される食事の内容だと、トップテニス選手であるジョコビッチさんの著書の内容と共通している印象でした。そして、そばとかシラタキとか、わりと和の食材を推奨しているなぁとも思いました。

彼の場合はグルテンと乳製品にアレルギーがあったわけなので、そうではない一般の人に簡単に当てはめるのはちょっと乱暴だなという気はしますが、読み物としてはおすすめです。推奨される食材リストやレシピもあるのですが、ここは写真をつけるとか少しグラフィカルになるような工夫が欲しいところでしたが・・・。  

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ということで、不妊治療世代は親がアルツハイマー世代になると思いますし、自分たちも当然向き合う必要が出てくる病の一つです。

ほとんどの病気が手術や薬で改善できる時代であっても、長い間認知症は手に負えない疾患と思われてきました。

しかし、もしかしたら今の医学の認識は間違っているかもしれない、認知症を治せるかもしれない。こんなものがある、というのを知っておいてもいいかなと思いましてご紹介しました。

ちなみに、私の祖父は90歳になりますが、未だに認知症の「に」の字も心配ないくらい達者でケータイも使うし、料理も農業もするし、時事ネタの鮮度も高いうえに、外でがつがつ仕事をしています。

読んでみると、祖父はこの本の「リコード法」のいくつかを自然に実行しているように思いました。その事実も私が「この本は結構正しいかもしれない」と感じる一因になっています。

まー最後にリコード法を実践できる医療施設を調べたらこの本の訳者である医師の病院が出てきて、結局そういうことかいなと思ってしまったことは正直に書いておきますが、いずれにしても成果が出ているのならトライする価値はあるのかもしれません。

こういう方法論で本来は使用を避けられる社会保障費は可能な限り減らして、本当に必要な不妊治療費、保育園・保育士の確保、母子・父子家庭への補助、介護士の待遇改善等々に回すべきだと思います!!