めありずむ

不妊治療の保険適用と理解促進に取り組むブログメディア(時々雑記)

【PoliPoli】不妊治療を取り巻く社会課題と取り組むべき政策

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一歩ずつですが、当事者有志のちょっとした活動が動きつつあって、その中のひとつが「PoliPoli」という政策推進プラットフォームという新しいサービスとの出会い。

PoliPoliという新しい光

この疲弊した課題山積みの日本社会で、こんなマズい状況なのに人々が政治に関心すら示さないことも、目の前に横たわる社会課題に政治家が気づきもしないのも、気づいていても保身ばかりに走って見て見ぬふりなのも、そりゃあおかしい。どう考えたって世の中おかしい。

2-30代の一部の人が選挙行くなんて当たり前のことをやり続けるだけでは、正直厳しいと思っていた。

そんな中に出てきたのがフレッシュなPoliPoliという新しい政治プラットフォームなわけです。

なかなか政治家(や官庁)に届かない私達一般市民の声を直接政治家につなげてくださるという素晴らしいコンセプト。

使い方の流れは簡単5ステップ!

  1. ユーザー登録
  2. 「応援コメント」からプロジェクトに意見などを投稿する
  3. 投稿した内容によってPolinというポイントがもらえる
  4. Polinをためると取り組んで欲しいプロジェクトの依頼等ができる
  5. プロジェクトが立ち上がると担当の政治家さんが進捗などをレポートしてくれる

署名活動しても、地方議員さんと連携ができても、なかなか突破が難しい「国政の壁」に風穴を開けられるかもしれないと、個人的にめちゃくちゃ期待しています。

と、いうことで!

高度不妊治療に保険適用するプロジェクトが立ち上がりました

ついに!不妊治療に関するプロジェクトが出てきました!準備・交渉してくださったPoliPoli運営の皆様、引き受けてくださった音喜多議員に本当に感謝!

上記の通り、ミッションへの参加はとても気軽にできるので、皆さんこの機会にぜひ登録してより良い政策になるように意見しましょうー!!

不妊治療に関連する社会的課題の構造

じゃあ、不妊治療を取り巻く課題っていったい何が原因なのか?をいろいろ考えていたのですが。

たぶんこういうことなのでは、と思っている課題を書き出してみたものの、関連が多すぎていわゆるツリーにできず・・。

ここで言いたいのは、今保険適用の反対意見として常套句のように使われている「治療成績が悪い」のは、保険適用によって解決し得るのであって、保険適用は結果じゃなくて原因の方なのでは?ということです。

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取り組むべきと思うプロジェクト

基本的には上に挙げたような不妊・不育治療に直接的に関わる部分をメインにしましたが、その周辺にももちろん手を入れるべき課題はあって、そこも同じように改善していくべきテーマであるとは思っています。

一応、それぞれ現状(実現されていない状態)での問題点と、実現によって期待される効果を列挙してみました。PoliPoliの政治家の皆さんぜひご参照ください・・。

すでに仲間の皆さんがPoliPloli依頼済みのプロジェクトについてはタイトルに(済)が付いてます。

1. 不妊・不育治療費の全面的な公的保険適用(済)

多くの課題の根源はココです。そもそも、不妊・不育症は病気ですからね?

今はタイミング法の一部のみ保険適用されていますが、人工授精・体外受精・顕微授精・不育症検査および処置についても全面的に保険適用の対象にすべきと考えています。

保険適用されていないが故の問題点

  • 高い治療効果が期待できる若年世代が高額な治療に踏み込めずに時間をロス
  • 医療介入が必要な「病気である」という社会的認知が進まない
  • 医療内容に国が介入しないことによる非効率な診療の野放し状態化
  • 国民のリプロダクティブライツが守られていない

保険適用によって期待される効果

  • 不妊・不育治療のハードルが下がり、特に若年層が治療を受けやすい環境になることによる治療成績の改善
  • 「病気」との認知拡大による企業や自治体による現実的なサポート手段の醸成
  • 国の機関の介入による効率的かつ患者ファーストな治療の促進による治療成績の改善

また、ここをきっかけに出産や女性疾患への取り組みなど、産婦人科医療全体も見直しされてほしいところです。今の出産一時金や妊婦健診助成という自治体まかせの制度ではなく、周産期医療スタッフの待遇改善とか、出産費用の完全無償化とか、無痛分娩可能施設の拡大といったところまで国が積極的に関与していってほしい…。

2. 不妊治療クリニックの治療実績開示(済)

上記の国による適切な医療介入という点から派生して、不妊治療クリニックについて治療の実績や患者属性などの情報を開示するよう厚労省が主導するべきではないか、と考えています。

本来は日本産科婦人科学会が個別のデータを毎年収集しており、すでに実績としては開示可能な状態に近いものの、その情報は全国集計値のみで個院別に公表されることはありません。

クリニックの治療実績が開示されないことの問題点

  • 患者が自分の属性などに応じて適したクリニック選択をするためのパブリックな情報がない
  • 実態が可視化されないためクリニック側が耳触りの良いことだけをなんとでも言える状況 (患者が不利益を被る)

クリニックの治療実績開示によって期待される効果

  • 単純な妊娠率などではなく、年齢や既往歴などを加味した上でクリニックを選ぶことが可能になる
  • 専門性に乏しい悪徳系のクリニックが淘汰される
  • 培養技術や治療効率などのブラックボックスになっている部分がオープンになることで、治療成績向上のための企業努力を促すきっかけになる

一応、アメリカでは全クリニックの実績や患者属性に関する情報が個別に開示されていますし、日本でもがん治療は同じようにクリニック別に5年生存率などの情報が開示されているんですよ・・・!

名実共に、即実行可能なプロジェクトです。

3. 施設間の知識・技術格差の是正および治療ガイドラインの整備(済)

不妊治療に関しても、不育症への対応についても、地域・医療施設間での知識格差・技術格差があるのが実情です。第三者機関による評価や、効率的に治療を行うためのガイドラインの整備などが必要であると考えます。

4. 不妊・不育治療と仕事の両立・再就職支援(済)

これは東京都や仙台市など一部の自治体で取り組みが始まったりもしていますが、個人的には正直全然イマイチっす。1年間の無給休職なんてなんも嬉しくない。実際この取り組みによる制度はどれくらい使われているんでしょうか?この制度のおかげで退職せずに済む人、どれくらい増えたんでしょうか?

仕事の両立・再就職支援がされていないが故の問題点

  • 9割が治療と仕事の両立は難しいと感じ、不妊退職は2割、退職したうち再就職のはわずか8%という現実 出典:【NPOFine 不妊白書2018速報版】
  • 企業にとっては人材の流出、雇用機会の喪失による人材難
  • 当事者にとっては収入(治療費・育児費)の減少、生活基盤を喪失することによる閉塞感、不安感の増大など

仕事の両立・再就職支援によって期待される効果

  • 仕事(収入やキャリア)と天秤にかけずに治療できることによる治療開始時期の早期化
  • 離職率の低下および企業イメージの向上(メルカリの例にように)
  • 社会的に孤立せずに治療に向き合える可能性

5. 胚培養士の国家資格化(済)

医療にかかかる専門職はその多くが国家資格。医師、看護師、薬剤師、作業療法士や理学療法士、検査技師だって管理栄養士だって国家資格です。

体外受精・顕微授精が年間50万件以上も行われ、胚培養士のニーズと重要性がこれだけ高まっているにも関わらず、未だに国家資格化されないとはなんという惰性・・。

*現在は「日本臨床エンブリオロジスト学会」「一般社団法人日本卵子学会」「一般社団法人日本生殖医学会」の検定試験に合格することで胚培養士を名乗ることが可能。

胚培養士が国家資格化されないことによる問題点

  • 施設間の培養士レベル(培養技術)のバラつき
  • 施設毎に立ち位置が異なり業務責任範囲が不明瞭

胚培養士の国家資格化による効果

  • 施設間の培養技術の格差是正による患者不利益の改善
  • 胚培養士の地位向上に伴う士気の向上

国家資格化にあたって検討すべき事項

他の資格をみるとこのあたりをどう決めていくかがキーになりそうかなと。

  1. 資格の種類:業務独占なのか?(資格を持っている人だけが業務を行えるのか)自ら培養もしている産婦人科医師はどうなるか?更新制にするか?
  2. 受験資格と要件:検査技師と医学部・農学部出身などの要件を含めるか?
  3. 養成課程:大学や専門学校の必要性、カリキュラム、教員資格等
  4. 現培養士の処遇:どこまでを現任者と認めるか、試験科目免除措置、経過措置、講習会

6. 生殖医療に関する法整備(済)

そもそも、生殖医療の法律がない先進国も珍しいんですよ・・。卵子提供・精子提供の親子関係だけじゃなく、PGT-Aなどの認可も学会任せではなく国民の利益を考えて国が認めるべきではないか、と思います。

法整備されない現状の問題点

  • 国民である当事者のリプロダクティブ・ライツ(権利)が保障されていない
  • 海外で治療を受けざるを得ない当事者が「なかったこと」にされている 

法整備されることによる効果

  • 当事者の権利保護が明文化されることで企業やクリニック等、関係各所の対応の変化が期待できる
  • (ただし、現状は無法地帯がゆえに行われている治療等が法律によって「禁止」されてしまうリスクは当然あります。ここは当事者も含めた議論が必須)

7. 不妊治療を含む本気の少子化対策政策提言(済)

ここからは、簡単に!(面倒くさくなったわけでは断じてない!w)

当事者だけが不妊治療をサポートしろと言ってるわけじゃないんですよ。少子化対策をどうこう言うなら、保育無償化とかアホなことしとらんと、フランスとかイスラエルくらい思い切ったことを本気でやってや!

素晴らしいホワイトペーパーがあるので、政治家のみなさん絶対読んでね!

ザ・エコノミスト・インテリジェンス・ユニット報告書:人口豊かな国へ:日本が出生率を上げるためにはどうすればよいか?

すごくいいレポートなので、いつか要約記事書きます・・()

8. オンライン診療やPHRの促進(済)

仕事の両立にも通じますが、不妊治療クリニックの混雑は異常です。座る場所がない、つまり完全キャパオーバーの運用。そして、転院のたびに同じ検査を受けるよう言われたりする。

職種によっては時間的な拘束がどうしようもない、というケースもあるので、同時に通院の負担を減らしていく施策も必要だと思います。無駄なことはやめよう!

オンライン診療はすでに診療報酬で加算できるようになって、慢性疾患などで活用が始まってはいるものの一般に浸透するのはまだまだ先なのかなという印象。(LINEヘルスケアとかがどういう戦略に出るかにも依存しそうですが)

PHR(パーソナル・ヘルスケア・レコード)と呼ばれる電子カルテ情報や検査値情報などを患者本人が管理者となりクリニックに共有するという仕組みにすることで、二重の検査や効かないことがわかっている薬の使用などを極力減らせるのでは、と考えています。

  • そもそも培養結果の確認や今後の相談のみの診察は対面である必要はない
  • 血液検査を自宅で行えるようにし、通院は内診と手術(処置)でOKになる(待ち時間の短縮)
  • 1回あたり30~1時間の時間短縮、かつ1周期あたり通院日数が1-2日程度減らせる
  • 検査結果がほとんど変動しないものや過去の治療歴は詳細まで転院先に共有することで、無駄な検査や薬剤の使用を避けることができる

9. 学校教育でのプレコンセプションケア教育の拡充

これはどちらかというと、不妊は加齢だけが原因と勘違いされている方もいらっしゃって、まさに卵子凍結などをしておけば安心かのような印象が広まっていることも含めて警鐘を鳴らしたいという意図。

  • 子どもを持つ持たないの権利
  • 避妊など身を守る方法
  • もし予期せず妊娠してしまった場合にとり得る選択肢のこと
  • 婦人科・泌尿器科で相談できること
  • 年齢に関係しない不妊の原因がたくさんあること
  • 老化するのは卵子だけではないこと
  • 検診やワクチンの必要性 などなど

とにかく、偏りのない正しい知識を教育してほしいと願っています。

10. 子どもの利益最優先の特別養子縁組の推進

不妊治療の代替のように「養子がある」とおっしゃる意見を見ることがありますが、そもそも、養子縁組という制度は子どもの福祉を目的とした制度であって、不妊治療の代替手段ではありません

他所の家庭の家族の形にあれこれ口出しするのはルール違反ですし、生殖医療とは一線を画した別の次元に位置している問題です。

一方で、日本の「里親委託率」は他国と比較しても異常に低いし(要は実親が養育できない場合に、施設で暮らす子どもがとても多いということ)、人工中絶の件数も多し、児童虐待のニュースも後を絶ちません。この状態を改善するには、やはり児童養護を充実させる仕組みが必要。

実子の有無に関わらず養子・里子を養育するという家族のあり方は一つの選択肢として当たり前になってほしい、しかしそのためにはそもそも児童養護関連のリソースが不足しすぎている、というのが現状ではあります。

これは国が主導してリソースを投下すべきプロジェクトではないかと思います。

11. 不妊治療の実態に関する国民調査の実施

こちらはうた@🍊 (@utautaconnitiwa) | Twitterさんからご提案いただいたものです。

不妊治療には大きく3つのステップ、タイミング法・人工授精・体外受精&顕微授精がありますが、不妊治療の実施件数として毎年公になるのは基本的に体外受精&顕微授精の件数だけです。これでは、日本における不妊治療の実態はほとんどわかっていないに等しいと思うのです。

出生数どうこう・・の話をするなら、「3人産め」なんて根拠も効果もないことを言わず、まず現状の実態を正しく理解することが先じゃないんでしょうか?

また地域による偏向などを把握することも、具体的な政策立案には重要と考えています。

  • 婚姻に関わらず子どもを望んでいる人の割合の把握(既婚者への調査はたまにありますが)
  • 望んでいるにも関わらず子どもがいない理由と望ましい環境の把握(ここが必要な対策になるはず)
  • 出産に至った方が不妊検査を受けたか、自然妊娠・タイミング法・人工授精・体外顕微のどの方法で妊娠したのかという実態(これで不妊治療がどれほど一般的かつ有効であるか可視化されると思います)
  • 子どもを望んでいる場合に、精液検査など男性がどのような取り組みをしたかの実態
  • 妊娠・出産に関して政府に望む政策の可視化(賛成割合などを定量評価)

などなど・・・。

なんか勢いで書いたけど、まだまだ書けていない視点もたくさんあると思うので、ぜひ追加のアイディアなどなど何でもご指摘いただけると嬉しいです。

まぁ問題はすべて繋がってますよ・・ということで、以前作ったやつも貼っておきます。

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オンライン署名は5000名を突破しました!

オンライン署名も結構まとまってきているので、目標には到達していないけど5000名を区切りに、一旦リストを国会議員さん宛てに提出してみようと思っております。