めありずむ

不妊治療の保険適用と理解促進に取り組むブログメディア(時々雑記)

高齢の祖父に運転免許を返納してもらうまでの話

f:id:sweet-honey83:20190502150501j:image

不妊治療関係ないのですが、最近も高齢者による交通事故が頻発し、社会的にも長いこと問題になっている「免許返納」について、どたなかの参考になればと思い記事にします。

88歳で免許を返納した祖父

私のとっても尊敬する祖父ですが、ひとつだけ困っていたのが「高齢運転」問題でした。地方在住の元気なお年寄りだと、特にこの問題は深刻ではないかと思います。

80代最後の年が免許更新のタイミングだったので、その前に1年間をかけて「免許返納」の説得を試み、無事返納を達成するまでの準備をご紹介します。

と言っても、決してスムーズだったわけではなく、前回の免許更新時や車検の際に説得に失敗して足掛け3年かけてやっと返納に漕ぎ着けました。正直、家族にとってはかなり骨の折れる作業です。

うちの祖父がどれだけ若々しく元気かは以下でもご紹介しておりますが、印象的には70代という感じでしょうか。基本的には物分りも良く、先の事を考えて自主的に動ける人だと思いますが、免許だけは違いました。

よって、何もなかったから良いものの、米寿になるまで運転していること自体が実際は異常だった、と捉えるべきだと思います。

それでも、ちょっとした狭い場所で車をこすってしまったり、「自分は普通の年寄りとは違う」という過信からスピードを出しすぎることもあって、家族としては「何かあってからでは遅い、もう運転はやめてほしい」と長年お願いしてきたのです。

運転に対する意識は「プライド高い勘違い野郎」

あー、同じだなぁという方にはきっと我が家の説得方法が役に立つかもしれない、という意味で、祖父の運転に対する意識や特徴を記載します。

  • とにかく元気で達者なので「自分は他の高齢者とは違う」という意識が強い
  • 「軽自動車なんかに乗れるか」という感じのプライドの高さ、もしくは世間体を過度に気にするタイプ
  • 社会性があるので知り合いが多くよく運転して外出する
  • 他人の運転には何かと物申したがる(前の車がウィンカーを挙げずに曲がったとか、幅寄せができていないとか)
  • 昔の運転のクセが全く抜けてないので平気で過剰にスピードを出す、急ブレーキ・急発進が多い

言い方悪いですけど、要は「プライドの高い勘違い野郎」ですね(笑)

私も以前祖父の運転する車に乗った時、80代なのに、子どもの頃に送り迎えしてくれていた時(5~60代)の運転と全く変わらない様子にかなり危機感を覚えました。

判断力は確実に衰えているのに、それを考慮していないハンドルさばきだったのです・・。

「免許返納」説得に有効だった3つのポイント

そこで確実に納得して免許返納をしてもらうためにいろいろ試行錯誤したのですが、結果的に有効だったと思うものを挙げてみたいと思います。

反対に「〇〇さんも何歳で返納した」とかいうのは自分は違うという意識が強くなるので逆効果でした(笑)

1.運転せずとも日常生活に支障がないことを「具体的」に提示する

私の実家の地域は地方の小規模都市で、人口は10万人程度の経済圏を形成しています。大型のショッピングセンターや病院、駅などへも車で10分程度で行けるような場所です。地域のコミュニティバスなどはありませんが、我が家では自家用車の代わりに「日常的にタクシーを使う」ことをお願いしました。

タクシー会社も家から車で5分程度の場所にありますし、環境的にはタクシーに切り替えやすい恵まれた立地条件だったことは本当にラッキーでした。

その分、減っているとは言っても子どもや若い方も多く生活している地域で交通量も多いので、交通事故のリスクは大きいと考えていました。

ここでは、タクシー利用によりどれくらいの費用がかかるのかなどを具体的に算出して見てもらいました。

2.運転なしでこれまで通りのペースで生活ができる環境を整える

祖父が大事にしていた畑が自宅から車で5分ほどの場所にあったのですが、2年前から自宅横の田んぼの持ち主の方と交渉し、土地の交換を行ないました。

それにより、自宅からすぐの場所に野菜を作るに十分なスペースの畑を作り、そこで今までと同じように農作業を続けてもらえるようにしました。

また、月に数回通うような「会合」などには他の方に同乗や送迎をしてもらえるよう事前に相談やお願いをすることで社会的な活動から離れないようにするための準備もしました(みんな快く引き受けてくれた)

うちの場合は、説得には口で言うだけ、生活の張り合いになることを取り上げるだけでなく、その環境をなるべく維持出来るようにこれくらいの家族側の協力というか、協力しようとする姿勢は必要でした。

決して老け込んでほしいとも、家にこもってほしいとも思っていないこと、好きなことをやめて欲しいとも思っていないことをしっかり伝えることが大事だったなと感じます。

3.家族の総意として運転をやめてほしいことを伝える

以前からそれぞれが個別に祖父に「もう運転をやめてほしい」という話をすることはあったのですが、個人単位だと娘だろうが孫だろうが機嫌を損ねるばかりで、どうも説得力に欠けるということがわかり、一度田植えの時期に家族が集まってしっかり話をする機会を設けました。

祖父の弟、同居している娘、婿、同居していない娘、婿、孫。全員から総意として「免許を返納してほしい」ということを伝えることで、よほど「重大である」ということに気づいてもらえ、返納の決断を促すことができました。

「自家用車」vs「タクシー」のシミュレーション

お住まいの地域の事情や生活スタイルなどによってかなり差はあるのであくまで参考程度ですが・・。

タクシー代の算出

だいたいの行動パターンから月にどれくらいの移動が必要かを算出します。料金は地域によって異なるので、ネット等のシミュレーター等を使うのが良いです。

私の祖父の場合、自宅から5キロ(片道約1600円)の場所に週3回(月12回)程度、15キロ(片道約4500円)の場所に月2回出かけるので、今の生活スタイルだと1ヶ月のタクシー代は約6万円弱ということがわかりました。免許を返納するとタクシー代の割引(1割程度)があるのでもう少し安いと思います。年額はおよそ70万円です。

自動車の維持費の算出

税金、保険、点検、ガソリン、清掃代などもろもろで年間50万円程度の支払いがありました。ここでは自動車の購入費用等は考慮していません。

週に3-4回車で外出をする生活をしている方の場合、単純費用ではやはりタクシー代の方が高くつくことにはなると思います。週1-2回しか出かけない方や公共の交通機関を使える方はタクシー利用の方が安いというケースも出ます。

しかし、もし金銭的にゆとりがあるのであれば、差額が20万でも30万でもそれは問題ではありません。その金額で「あってはならない事故」を確実に防げるのなら、正直安いと考えるべきだと、我が家ではそう思うことにしました。

シミュレーションする目的は、具体的にタクシーを使うというイメージを持ってもらうことにあるのです。

なんとなく「タクシーなんてアホみたいに高い」というぼんやりした印象を、「月何万円」という具体的な金額に落とし込むことに意味があると思いました。

何かあってからでは本当に遅い

祖父は運転しなくなって2年近くになりますが、特に老け込んだ様子はありません。(相応に年を取った感じはありますよ) 今もタクシーだったり路線バスだったり、送迎してもらってしょっちゅう出かけています。

とにかく、事故を起こしてしまってからでは悔やんでも悔やみきれません。自損事故ならまだしも、万が一にも他人を傷つけるようなことをしてしまったら。

「何かあってからでは遅い」と言葉で言うことは簡単ですが、多くの人は分かっていても自分から線を引く事が難しいのです。

でも、それだけは絶対に避けなければいけない、その大前提を祖父も含めてみんなが思っていることだったからこそ、簡単ではなかったものの話し合いの末免許返納による安心を手にすることができました。

本来ならば、行政がもっとそこにお金を割いて免許返納時のタクシー料金は半額くらいに思い切ったことをやるべきなんだと思いますけど・・。まぁ、高齢化することがわかっていたのだから、もっと早くから居住地域の限定とかコンパクトシティ化を進めるとかやっといたら良かったけれど、そんなの今言っても仕方ないしねぇ。

逆にあと5年、10年先はもう「自動運転の方が安全」という時代が来ると思うので、そうなればこのような心配もなくなるのかなと期待はしていますが。

明日その事故が起こらないとも限らない。行政や他人のせいにしていても、今はどうしようもない、決断するしかない、と思います。